心を開くコツはただ聞き上手になるだけじゃないと不良少年から教わった話


リクストリーム管理人の元警察官・桜井陸です。

今回は僕が不良少年の心を一瞬で開いたテクニックを紹介します。

これは仕事でも役に立つので参考にしてみてください

もしこれを読んでいるあなたが職場の人間関係やお客さんと上手く距離を縮められなくて悩んでいるとしたら良い一手になります。

幼い少年をなめてかかると突如、牙を剥く

交番で勤務しているとよくある通報が「コンビニ前に不良少年がたむろして困っている」「マンションの駐車場に暴走族が集まっていて怖い」というものです。

実際には小学生~高校生くらいの子供達ばかりで危害を加えてくるわけではありませんが、それでも一般人から見ると特異に見えて不安を感じる存在です。

いざ相手にすると少年たちは集団で一人の警察官を標的にする傾向があります。

 

気が弱そうな警察官はまともに会話すらさせてもらえません。

それでは負けじとこちらも高圧的な態度で接すると幼い表情を見せていた少年たちはいきなり牙を剥いて今にも襲い掛かりそうな姿勢を見せる者も多く、慣れないと対応に苦労します。

不良少年と仲良くなるコツを見つける

僕は制服警察官の時、この不良少年の対応を得意にしていました。

新人の時は不良少年になめられて馬鹿にされて落ち込んで交番に帰るといったこともしばしばでしたが、あるコツを知ってからは各段に扱い方が上手くなったのです

それはとても簡単な方法なので拍子抜けするかもしれません。

 

少年と仲良くなる方法は単純だった

そんな魔法みたいな方法はどんなことだと思いますか?

じつは誰にでもできる、とても簡単なことなのです。

その方法とは少年を名前で呼ぶということでした。

 

「え?それだけ?」と思われる方がいるかもしれません。

ですが少年に対して「お前」とか「君」とか二人称で呼ぶことは少年を物扱いしていることと同じなのです。

僕は警察官になって人間関係で悩んでいたころ読んだ本に「人を名前で呼ぶと距離が縮まる」と書いてあることに関心を持ち、これを仕事に活かしてみようと考えました。

そしてさっそく少年がたむろしているという通報を受けて現場に行ったとき思い切って少年の名前を呼び…かけようとしたのですが無理でした。

 

僕は不良少年を人間として尊重していなかった

僕は少年の名前を知らなかったのです

今まで「お前」とか「おい」とかで片づけていた僕は少年の顔を見ても名前が浮かびません。

いきなり名前で呼ぶのは照れくさいし、どんな反応されるのか不安だったというのもあります

 

それでは少年に名前を聞いたらどうなるのか。

当然教えてくれるわけありません。

警察官が「名前を教えてくれよ。」といきなり高圧的に話しかけても少年たちは警戒して名前など教えるはずもないのです

 

ナンパしていきなり女性に電話番号を聞いても教えてくれないのと同じです。

仲良くなって信頼関係を築いてこそようやく個人情報を教えてくれるものなのです。

まずは相手を好きになることから

僕はそれから不良少年グループと仲良くなる努力をしました。

こちらが上にいるというスタンスは常に崩すことなくそれでも親しみを持って接する。

そのためには少年が話したことは全てメモして記憶して、次に会った時にはその話題を振るようにしました。

 

そうすると少年は「自分のことを知っている相手」と認識して徐々に心を開き始めるのです。

人の話を聞くというのは実は難しいことです。

あいづちを打つタイミングや表情も大切ですし、何よりも相手を好きにならないと人は心を開きません。

聞き上手になるにはテクニックではなく相手に興味を持つこと

テクニックに走ると人はすぐに見抜きます。

なので少年相手だろうと真摯に向き合って相手を好きになることが聞き上手の第一歩だと気づかされたのです。

そして、一番大事なことは名前を覚えること

 

そのためにも少年同士が何気なく呼び合っている名前(「タカシ」とか「アツヤ」など)こっそりと憶えて顔と名前を一致させました。

若い子は同じようなヘアスタイルをしているし顔も同じに見えます。

だから交番でメモ帳に似顔絵と名前と服装(少年はお金がないから服装のパターンも決まってくる)を書いて必死に覚えました。

勇気を出して少年の名前を初めて呼んでみた結果

そしてある日、同じような通報を受けて不良少年が集まっている現場に行ったときに僕は少年の名前を呼んでみました。

おい、リョウスケ。またお前たばこ吸ってんのか。セブンスターなんて美味しくないし肺がんになるから止めてチュッパチャップスにするって約束しただろ。」

すると少年は驚いた顔で「なんで俺の名前を知ってるの?」と僕の目を真っすぐに見つめてきたのです。

 

知っているのは当たり前ですよね。

仲間同士で呼び合うのをこっそり覚えていたんですから。

自己顕示欲求を満たすことが良好なコミュニケーションの第一歩

僕が話した言葉で赤線の部分をよく見てください。

「おい、リョウスケまたお前たばこ吸ってんのか。セブンスターなんて美味しくないし肺がんになるから止めてチュッパチャップスにするって約束しただろ。」

これ、名前を呼んでますがそれだけじゃないんです。

 

以前の会話内容を覚えてるので少年の「自分を覚えて欲しい」という欲求を全て満たすことができるんです。

これを心理学的には自己顕示欲求というそうです。

ここまで来たら少年も照れてデレデレし始めます。

 

自分を知っている相手、つまり僕を警察官ではなく「桜井陸」という一人の人間として認めざるをえないのです。

そして人は誰しも人から嫌われたくないという感情を持っています。

少年は僕に仲間意識を持つと今度は僕に嫌われたくないという気持ちを持ち始めるので僕の言うことを素直に聞くようになります。

つまり、「迷惑になっているから早く解散しろよ」と僕が指示するとみんな素直に立ち去るようになったのです。

感情の共有は相手に心を開かせやすい

これはどの少年にも有効でした。

たとえ署を転勤して違う場所に行っても2回目に会う不良少年を名前で呼ぶと少年は「なんで俺の名前を知ってるの?」と驚き、周りの不良メンバーも「じゃあ俺の名前は?」「お巡りさん俺のことも知ってる?」と輪になって押しかけてきました。

もちろん名前で呼ぶだけでは完全に仲良くなれません。

 

時には叱ったり、褒めたり、貸しを作ったり、逆に(演技して)借りを作ったこともあります。

つまり少年を「どこにでもいるやっかいな不良少年扱い」するのではなく、個人として認めてお互いに感情の共有をすることが大事なのです。

こうすることで少年たちは僕を見かけると自転車で集まってくるようになりました。

転勤する前日には交番にお別れの電話をくれた子もいます。

会社でも有効な「名前を呼ぶ」というテクニック

この名前で呼ぶという行為は会社でも有効です。

あなたは会社で役職についている人を単に「部長」とか「係長」と呼んでいませんか?

僕は主任という役職でしたがあまり話したこともない人から「桜井主任」と名前で呼ばれたときは本当に嬉しかったことを覚えています。

 

距離を縮めるときは上司を呼ぶときに「〇〇係長」と名前で呼ぶと内心、少し感情が揺れます。ふだん役職だけで呼ばれている相手ならなおさらです。

保険のセールスレディとの出会い

それと、お客さんと距離を縮めたいときも名前で呼びかけて会話を記憶しておくのはかなり効果的です。

警察署には保険会社のセールスレディが多く営業に来るのですが、どの営業さんも保険商材を販売するのに必死でした。

その中で一人だけ僕のことを「桜井さん」と呼び掛けてくる女性がいたのです。

 

その人は無理に商材を勧めることもなく数週間前に僕と話した会話を昨日話したことのように覚えていて話しかけてきました。

僕は既に保険に入っていたので契約することはありませんでしたが、もし入っていなければ絶対にこの女性から契約していたと思います。

人の「自分を知って欲しい」という自己顕示欲求を満たすことは人間関係をスムーズに運ぶ第一歩という話でした。これは恋愛にも使えますので機会があればまた書いてみます。

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