踊る大捜査線など刑事ドラマと本物の警察の決定的な違い

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ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。

よくドラマの影響で警察官を目指したという方がいらっしゃいます。

僕も公務員浪人時代は警察24時や警察の映画(インファナル・アフェアなど)を見てモチベーションを上げていました。

踊る大捜査線など刑事ドラマとの違い

そして念願がかなって警察官になり刑事になったとき、ドラマと一番違ったことは逮捕してからが警察本来の仕事だと知り驚きました。

ドラマは犯人を見つけるために地道に捜査して聞きこんでようやく見つけた犯人を逮捕して終わりじゃないですか?

あれは大間違いなんです。

犯人を捕まえてから警察の仕事が始まるのです。

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立入り禁止テープの奥を知るのは警察官だけ

例えば今は神奈川県の座間市でTwitterを使った殺人事件がニュースになっていますよね。

自殺志願者を装い、ワンルームマンションで9人も殺人を犯した疑いで20代の男性が逮捕されています。

あの事件は捕まえたからもう解決ではありません。

来年の今頃も間違いなくまだ捜査は続いているはずです。

人を逮捕することは基本的人権を制約すること

人を捕まえるって意味が僕は警察官になるまで良く分かっていませんでした。

新米警察官のときも逮捕することがいまいち分かりませんでした。

逮捕状がなくてもなぜ逮捕できるんだろうとか、ガサ入れってどういう意味があるんだろうとか。

 

そして仕事を覚えて階級も上がるころには人を捕まえるという意味がようやく分かりました。

逮捕とは人権を制約するという意味なんです。

簡単に言うと「犯人がどこにも逃げないように、証拠を捨てたり消したりできないように看守が24時間見張る」ということです。

 

逮捕は基本的人権に書いてある自由権などを公的に侵害する行為なので、裁判所から逮捕状を交付してもらうというのは大変な労力です。

そこまでして人を拘束しないと逃げられたり証拠を隠滅されてしまうんですよね。

 

もしあなたにやましいことがあって明日警察に事情聴取されると分かれば見られたくないものは全て処分しますよね?

そして良心の呵責や世間の非難にどうしても耐え切れない人は自殺してしまう可能性もあります。

警察は犯人を取調べて書類を検察庁に送るまでいかなる失態も許されないのです。

刑事が職人と呼ばれる理由

僕は刑事になったとき、人を1人捕まえるだけでここまで書類がいるのかと嫌になったことが何度もあります。

本当に見たことがないくらい紙の山なんです。

そして一枚でも紙が抜けたら大騒ぎになるから書類にパンチで穴をあけるのもファイルに綴じるのも宝石を触るかのように大切に扱います。

 

どれだけ深夜になっても休みがなくても他の刑事さんは泣き言ひとつこぼさずに黙々と働いていました。

当たり前ですが警察って民間企業じゃないから会社にどれだけ残業しても利益って出ません。

【関連記事】警察はいわゆるブラック企業なのか?

 

じゃあなんで休日を返上してまで働くのかというと人の人生がかかった仕事だからです。

もしかしたら犯人は裁判で死刑になるかもしれないし、懲役がつくかもしれません。

苦しんでいる被害者もいます。

だから刑事は妥協することなく徹底的に仕事をするので、ベテラン刑事は警察官というよりは職人という雰囲気でした。

 

刑事ドラマは1時間以内に犯人を捕まえて手錠をはめて牢屋にいれたらハッピーエンドですよね。

あれが本当なら刑事になりたい人がもっと増えるだろうなと思います。

書類もアンケート表みたいにチェック式にすれば仕事も楽で効率が上がるのになといつも思っていました。

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あなたは犯人ですか?「YES」そんな楽な取調べがしてみたかった

 

犯人を逮捕すると捜査はそこから始まります。

その人が本当に犯罪を犯したのか第三者の誰が見ても聞いても納得できるようにするためです。

そこにやりがいを感じられるかどうかで刑事の向き、不向きが分かると思います。

続けて【刑事になる方法と難易度の秘密】の記事へ

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ABOUTこの記事をかいた人

・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。