警察官を退職して卒業旅行でパンガン島に行ってきました~最終章

警察官、退職、タイ、就職

歩き疲れたので僕はビーチへ戻ります。

ビーチには廃墟となったバーがあり、僕は廃墟好きなので思わず撮影しました。

タイ、ハードヤオ、バー

jacks barと書かれた看板が見える。jackは元気にしているのかなと少し気になった。

南国の廃墟ってどこか魅力的に見えました。

ここでは多くの旅行者がお酒を飲んで語った店だろうに主を失った店は朽ちていくだけと考えるとタイムスリップしたような気分にさえなります。

店内に入ると冷蔵庫やビールの空き瓶が残されており、盛衰を感じました。

タイ、ハードヤオ、バー

栄枯盛衰を感じさせる店内

この店を出てビーチ周辺を歩くと生い茂ったジャングルのような森の中に小さなバーを見つけます。

ショットバーのようですが小学生が作った秘密基地のように粗雑な造りで上の廃墟がまだマシに見える店でした。

でもここに行かないと僕はなぜか後悔するような気がして勇気を出して行ってみました。

 

店には髪の毛を肩まで伸ばしたタイ人男性が一人いて、僕を見ると

「何を飲む?タイビール美味しいよ。」

と聞いてきます。

この男性は見た目がチェゲバラそっくりで雰囲気も怪しくて日本にいたら絶対に職質していただろうなと思いました。

キューバの英雄・チェゲバラ

店といっても空き地に屋根とベンチを作っただけで蚊が多く、野良猫が店の椅子で爆睡しているワイルドな外観で日本の保健所がみたら卒倒する雰囲気でした。

でもここで断ると申し訳ないので僕はテキーラを注文すると彼はショットグラスに注いでくれました。

 

チェゲバラ似の彼はティーという名でバンドをしており他の店から演奏依頼を受けるほどのギターの腕前でした。

後で店に観に行くことになるのですがとてもカッコ良かったのです。

タイ人とコークハイで打ち解ける

そして僕はティーと話していると店には続々と彼の友人が集まります。

僕は一瞬ヤバイかなと思い身構えましたが、みんな無防備で気さくに話しかけてくるので10分ほどすれば完全に打ち解けました。

ウイスキーをコーラで割ったコークハイを飲み盛り上がります。

 

ここでトイという50代の男性がアコースティックギターを弾き始めました。

暮れていく南国の景色で野外にはロウソクの明りだけ。

どんな歌を歌ってくれるのかなとワクワクしているとトイはビートルズの次に谷村新司の昴や坂本九の上を向いて歩こうを歌ってくれました。

 

南国に独りぼっちの夜、上を向いて歩こうという歌詞はバッチリ合って少し泣きそうになりました。

僕は勇気を出してこの店に来てよかったと実感しました。

この後ビーチのバーに行くとみんな顔見知りなのですぐ仲良くなれます。

特に日本人観光客が全くいないので珍しいのかとても親切なのです。

大人の楽しみ方をわきまえた人たち

一番驚いたことですが、ハードヤオのビーチではお酒を飲んでも大騒ぎすることもなく白人もタイ人もみんな静かに座ってビールを飲み、ビリヤードしたり星空を見ています。

日本では酒に酔った人が喧嘩したり路上で寝たり、大声で騒いで通報を受けることが1日に数回はあったのにここでは全くありません。

みんなで同じ素敵な時間を共有しようという大人の楽しみ方を人種関係なくわきまえているのです。

 

そして驚いたことに夜9時を過ぎるとビーチのほとんどの店は営業を終えてシーンとします。

波音だけが響いて、ビリヤードの球がカツンカツンとぶつかる音まで聞こえます。

こんな大人な島があるとは思わなかったなあと僕は心底感心しました。

客引きも全くいませんし怪しい店が一軒もないのです。

 

そもそも若い女性がいないので性産業がゼロというこの島は僕のような静かさを求める旅行者にとって最高の環境です。

後で理由を聞くとパンガン島にはマフィアが進出してきていないそうで未だに昔のままの風景を保っているとのことでした。

夜空には溢れんばかりの星空が広がり、時折ヤシの木をザーッと涼しい風が通り抜けます。

ハードヤオには野犬もいません。

 

21時を過ぎ店も閉店してみんな順次帰宅し始めたので僕もホテルに帰りました。

ホテル前にはセブンイレブンがありそこがハードヤオビーチの中心店なのですが、上にアップした動画の犬が自動ドアを自分で開けて店に入り涼しい店内で寝ていました。

なんて自由な子なんだろうと思うのと同時にタイのゆったりした国民性を感じました。

滝に通い詰める日々

翌朝から僕は滝に行くことにしました。

パンガン島にはパラダイス滝という滝があると地球の歩き方に書いてあり、海水が苦手な僕でも泳げるかもと期待して行ってみたのです。

ホテルからタクシーで15分ほどで滝に着きました。

綺麗な水が溢れ出る小さな滝

想像以上に良い感じです。

大きすぎず、綺麗で人がほとんどいません。

僕は水着を持っていなかったのでトランクス1丁で滝つぼに入りました。

中央奥に見える滝つぼで泳げる

写真の奥に見える天然のプールみたいなところで泳げます。

ヒルがいたら嫌だなと少し心配しましたが水は冷たく澄んでいて、暑いタイの世界から隔絶されたような気分になりました。

 

滝つぼで泳いだのは初めてですし感動です。

と、その時でした。

右足のすねを何かで突かれたような違和感を感じました。

気のせいかなと思って少し動くとまたもや何かが突いてきます。

水中の中で何かに足を噛みつかれる恐怖

突かれるというよりも噛まれている感じです。

ヒルが出たと僕はパニックになり足をバタバタしているとそれを見ていた白人男性が

「足を噛まれるだろう?それは魚だよ」

と笑いました。

 

水の中をよく見るとメダカのような小魚が多く泳いでいて足に集まっています。

なんとこの滝にはドクターフィッシュが自然生息していたのです。

古い角質層を食べてくれる魚で日本では20分1500円くらいで体験できるコースがここではタダで体験できます。

しかも数が半端ではなく、大人のドクターフィッシュになるとイワシ位大きいので恐怖さえ感じました。

 

僕はこの滝で水遊びして昼過ぎにビーチに戻る生活を繰り返しました。

ビーチに戻るとモヒートというカクテルを飲んで夕焼けを見ます。

モヒートはミントが入っていて南国にピッタリのカクテルだ

お酒を飲んでいると仲良くなったみんなが仕事を終えてビーチに集まるので一緒にお酒を飲んで話します。

その中の一人でオンという44歳の男性が僕に言いました。

「なあリク。この島では夕方5時まで働いたらそこからはフリーなんだ。この夕焼けを見てお酒を飲んでビリヤードして。このためにみんな生きてるんだよ」

 

ああ。そういう生き方もあるのか。

仕事観の固定観念が少し外れた気がしました。

生きるとは何かを犠牲にして働くのではなくて自分の人生を楽しむ生き方もあるんだなとこの時に実感したのです。

 

その時、僕が横にいたティーに話しかけようとするとティーは

「ちょっと待ってくれ。サンセット(陽が沈む)だよ」

とビーチの彼方を見ました。

 

赤い夕陽が海に沈む瞬間、ビーチにある全てのバーは静寂に包まれてスピーカーからバラードだけが流れます。

モヒートのグラスも赤い光で覆われて時間が止まったようになりました。

サンセットの少し前でも美しかった

ハードヤオのみんなにとってサンセットは特別なものでした。

見慣れることのない特別な一瞬のためにみんなここに集結して住んでいるのです。

考えたら僕はなぜ今まで警察官として働いてきたのかなと思いました。

自分のため?市民のため?妻のため?

わけが分からなくなり、この景色を見るだけで孤独がどんどん深くなって早く妻に会いたくなりました。

 

朝はハンモックで寝て滝で泳ぎ、夕方からはモヒートを飲んでサンセットを見る生活も終わりいよいよバンコクに帰る日が来ました。

僕は島のみんなに挨拶してフェリー乗り場へ行きます。

そして僕は船着き場まで歩いていると聞きなれたギターと歌声が聞こえました。

なんと谷村新司を歌ってくれたトイがいたのです。

パンガン島との別れ

彼は各所を回って弾き語りでチップをもらう生活をしており、なんとも偶然に最後の再開ができました。

トイはここでも人気者でイスラエル人やドイツ人にも気軽に声をかけてチップをもらいます。

そしてバンコクに帰るフェリーが船着き場に着いた時、僕にまた上を向いて歩こうを歌ってくれて歌い終わると立ち上がり誰にもしなかったハグをしてくれたのです。

 

僕はフェリーに乗り込み、離れていくパンガン島を見てまたいつか必ず来ようと誓いました。

島のみんなも

「いつ遊びにくるかはup to you(君任せ)だ。いつリクが来ても昨日からそこにいたように歓迎するから心配ないさ」

と言ってくれてジーンとしました。

 

僕は警察官を退職する前からいつか南の島に行ってゆっくりしたいと常々言っていました。

それが早くも叶ったことに喜びを感じるとともに色々と感慨深い旅ができて人の優しさを改めて実感しました。

バンコクの警察官と仲良くなる

これはエピローグ的な話なのですがバンコクに戻り、帰国まで2日だけを街で過ごしました。

街には多くの警察官がいて話しかけると仲良くなり、腰に大きな拳銃を吊っていたので

「それはリボルバー?」

と尋ねると

「そうそう、これが好きなんだよ」

と50代の警察官はホルスターから抜いてとんでもなく大きな拳銃(スミス&ウエッソン社製マグナム)を見せてくれました。

タイ、警察官

日本で警察官が拳銃を意味なく取り出すと処分を受けます

横ではいかにも18歳で高校上がりの若い警察官が笑って見ていました。

そして二人と握手したとき、僕は警察官を退職したことを改めて実感したのです。

 

働くということは人生の大半を占めることですからお金のために仕事をするのか、やりがいをもって働いてその延長線上に給料があるのかは人それぞれです。

少なくとも僕は警察官として働いていたときはやりがいがありましたし困った人の悩みを解決して子供からはヒーロー的な扱いを受けて毎日がとても楽しかったのは事実で、このブログを通じてどうしても警察官になりたいという熱い気持ちを持った方の夢を叶えるお手伝いができるのは本当に幸せなことだと感じました。

 

 

ハードヤオビーチの夕焼け

 

一人旅をして人生観が変わるわけではありませんし、「自分探しの旅」など陳腐な言葉で退職祝いの旅行を飾るつもりもありません。

ただこの旅で働くことの意義や生きる意味を再認識することができました。

旅行気分はおしまいにして、明日からはまた受験に役に立つ情報を書いていきます。

帰国して何となくチェゲバラを調べていると彼が生前言った素敵な言葉が胸に響いたのでご紹介しますね。

 

 

明日死ぬとしたら、生き方が変わるのか?
あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なのか。

ーチェゲバラ

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