日大と関学のアメフト問題は警察にとって事件化が難しい理由

日大、アメフト問題、関学

ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。

日大のアメフト問題が過熱して連日ニュースになっていますね。

あのニュースを見て最初に思ったことは「立件はかなり難しいだろうな」ということでした。

 

ニュースを見て憤慨している多くの視聴者は「警察に被害を届け出て選手が謝罪すればそれで事件は一件落着だ。後は罪を償ってもらおう」という人がほとんどですが実際の流れはそうではないのです。

警察官志望者の方は必ず知っておかなければならないことに犯罪構成要件という言葉があります。

犯罪構成要件とは例えると「犯罪を犯罪と認めるための取扱説明書」であり、この説明書に載っていない行為は罪と認められません。

日大、関学、アメフト

犯罪にもルールブックがある

路上を歩いていた時にいきなり見知らぬ男からタックルされて怪我した場合、相手が「怪我させてやろうと思ってタックルしました」と犯意を認めれば傷害事件ですが試合中にタックルされたとなると話はまた変わってきます。

ボクシングは試合中なら殴って罪になりませんし、医者も手術中ならば人をメスで切っても傷害罪にはなりません。

 

それでも正当防衛で人を殴った場合は傷害罪等の被疑者として取調べを受けます。

(正当防衛と認められるのは取調べを受けた後になります)

これらは違法性阻却事由と呼ばれる行為で巡査部長以上の警察官ならば当然理解していた上で部下に指示する必要があります。

 

銃で人を撃ち殺すと殺人ですが、弾が入っていないと誤信して引き金を引いた場合ならどうなるのか。

幼児が間違って引き金を引いた場合はどうなるのか。

弾が被害者を貫通して無関係の通行人も殺してしまった場合はどうなるのか。

これらは当然ただの殺人罪では問えませんから法律は本当に難しいのです。

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捜査は法律を当てはめていくパズルのようなもの

今回の事件は試合中ということで違法性阻却事由と犯罪構成要件が焦点になります

相手選手が「監督の指示に従って選手を傷つけようという意思があった」という強い意思を認めることと、監督の指示が間違いなくあったという証拠が大切になります。

そして警察はこれらをただ黙々と捜査して検察に資料を送るだけで、検察官がその資料を読んで起訴するか不起訴にするかを判断するのです。

裁判の流れについて書いた記事

 

警察が罪を判断すると思っている人は多いのですが、あくまでも判断するのは司法(裁判所)です。

そして今回の事件は裁判になるまでにお互いが話し合い示談になって被害取り下げになるはずです。

もし裁判になると泥沼化してかなり長期化するのは目に見えており、双方にとって利益はないのです。

(そもそも裁判にならないはずです。)

それならばできるだけお互いが歩み寄って和解するのが一番綺麗な終結ですよね。

警察は様々な相談を受理します

警察官になるとこういった相談が毎日寄せられます。

中には犯罪構成要件に該当しない相談もありますし、法律を知らなければ見落としてしまう相談もあります。

これを判断するのは警察官個人個人の知識と経験ですから適当に受け流すと犯罪を見逃す行為になり大問題になってしまいます。

ですから普段から新聞やニュースを見て「この犯罪はどうして犯罪になるのか」「自分ならどう判断するか」ということを考えておく必要があります。

警察官、相談

警察官には法律の理解と適切な状況判断が求められる

例えば自分が交番で勤務中、通行人が交番に来て「落とし物です。自転車を拾いました」と言って自転車5台を持って来たらどうしますか?

小学生が「ポスターを拾いました」と言って選挙ポスターを剥がして持ってきたらどうしますか?

簡単に思える拾得物業務でもこれだけイレギュラーな対応があり、いずれも落とし物として受理することはできません。

交番では一人になることも多いため、犯罪構成要件だけでなく遺失物法等も理解していなければ仕事にならないのです。

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世論に流されず自分の意見を持つ

今回のアメフト問題を見ていて、僕は日大の選手が謝罪会見する前にテレビを消しました。

今の世論と報道姿勢に違和感を感じませんか?

善悪の判断ではなく「自分はどう思うのか」という芯の部分を求められる時代になってきたと思います。

日本大学アメフト部の選手が会見現場に出てきた瞬間、とある男性アナウンサーが「うわ。大きいですねぇ。」と見世物の珍獣を表現するかのように言い放った言葉がとても印象的でした。

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