警察官採用試験の身体要件にある色覚について

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管理人の元警察官・桜井陸です。

ブログ読者の方から

「色覚検査で異常が見つかった場合、警察試験に合格するのは難しいですか。」

と質問を受けました。

【関連記事】身辺調査で警察官になれない人とは?

警察官採用試験の身体要件に色覚と明記されている理由

色覚って意識したことがないんですが、自分が見ている色って本当にみんなと同じ色に見えているのかなと不思議に思ったことはありませんか?

その共通性を試験で試すのが色覚検査なのですが、男性のうち5パーセントは色弱だそうです。

色弱というのは差別的な嫌な言い方で、ただ見えている色が他人とは少し違うように見えるという個性なんですよね。

 

そして警察の身体要件には

色覚:警察官としての職務に支障がないこと

と明記されています。

 

つまり「色が判別できなければ採用基準に達していないとみなします」と公言しているんです。

警察官採用試験は一つでも基準を満たしていないと不採用になります。

 

古臭い体制だなと少しイラッとしました。

でもよく考えると自分が仕事をしていた時、逃走車両の色や犯人の服装の色について無線で手配していたことを思い出しました。

確かに警察官の仕事では「色」ってとても大切だったんです。

色で制限されるという不平等

色は生きていく上で重要なものじゃないのに、警察官になりたいと真剣に思う人が制限されるって不平等だなと胸が痛くなりました。

そして警察官を辞めた自分が情けなくなりました。

 

中学生のとき、同級生から

「俺は色弱なんだ」

と言われて、僕は初めて聞いたので驚いて

「え!じゃあ色が見えないの?白黒に見えてるの?」

と聞いたことがあります。

 

すると同級生は

「だからこの話をするの嫌なんだ!みんなお前みたいに差別的に考えるし大げさに言うから。赤と茶色が少し見分けにくい程度なのに。」

と憤慨したあと、とても悲しそうな顔をしたのを今回のメールを拝見して思い出しました。

 

色覚検査について色々と調べているとこちらのサイトで以下の記事を見つけました。

警察官、色弱、色盲、適正検査、不合格

石原式という検査方法でなくて、中にはD-15という色覚検査だけを行っている自治体もあるということでしょうか?

今まで色覚検査ということに注目したことがなかったので改めて検査内容を見て警察職務について色々と考えさせられました。

僕も身体に秘密を隠して採用されました

こんなことを言うとあまり良くないので詳細は控えておきますが、僕もとある身体条件に不安を抱えながらも警察に採用されました。

なので相談された方の気持ちが痛いほどよく理解できたのです。

試験の成績以外で評価されるってこんなに悔しいことはないですからね。

そして警察職務に適合しているのかグレーな部分を隠しながら仕事するというのはしんどいことが多かったです。

 

適性検査で不適格や異常があると診断されてもそれは人間として不適格だということでは決してないんです。

ただひとつの職業に適合しなかっただけで選択肢から外れただけです。

 

「誰でも頑張れば合格できるよ」と励ますことが出来ない自分の無力さを痛感しました。

それでも僕は警察官採用試験を受験される方みなさんが少しでも納得のいく結果が出るように祈っております。

 

追記

この記事のあと、読者の方で軽度の色弱なら合格できたという方から情報をいただいたので記事にしています。

4 件のコメント

  • こんにちは!
    初めてのコメント失礼します!
    私には色弱で警察官になりたいという夢がある友人がいます。一昨年警察官になるため神奈川県警を受験し第一次試験は合格し第二次試験の色覚検査で落ちてしまいました。石原式検査とD15どちらも合格することができませんでした。D15が見えなければ異常と思っている人は少なくありません。しかしそれは間違っていると思います。友人は産まれてから一度も日常生活に色の判断で支障をきたすことはありませんし、気付くことすらありませんでした。免許を取る際に行った色の判断の検査でも異常はなく、警察試験の検査で初めて自分が色弱であるということを知ったそうです。警察官になるという夢をずっと持ち頑張って勉強をしてきている姿をずっと見てきていたので、たった数秒の色覚検査でこれまでの友人の頑張りが全て無くなったことにとても悲しくなりました。また友人の話によると、先進国で色覚異常の試験で落とすのは日本だけだそうです。他の国で産まれていれば友人は警察官になれたのかと思うと、とても悔しくなりました。この制度を私は変えたいと思います。警察官の中には警察官でありながらも犯罪を犯したり裏社会と繋がっているという報道をニュースで見ます。こんなにも純粋に警察官になりたいと、落ちてから数年経ってもずっと思い、未だに落とされたことに納得できていない友人を見るのは辛いです。この制度を変えて、色覚異常の検査で警察官になれなかった人を、警察官にならせてあげたいです。この制度を変えるという前例がない為、どうすればいいか悩んでいた時に、このサイトを見つけました。一緒にこの制度を変えてほしいです。よろしくお願いします。

    • 警察官にとって色というのは予想以上に必要で、犯人の服の色や車の色を間違えるとそれだけで逃してしまうこともあります。その可能性がなく色を判別できるのならば、私も色覚検査は不要だと思います。
      色覚検査は差別しているのではなく、あくまでも警察官として必要な能力を見る検査だとご友人に説明頂けると幸いです。

  • 警視庁は色弱者は試験さえも受けさせてもらえませんでした。仕方がないので、中学校教員になりました。皮肉なもので、生徒指導警察担当者になりました。どちらにしても警察に縁があった人生でした。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    ・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。