警察官採用試験の面接で落ちるのは警察官に向いていないから?

警察、面接、志望動機、試験

リクストリーム管理人の元警察官・桜井陸です。

今日は警察官採用試験受験生のみなさんからよくお寄せいただくお悩みについてお話しします。

いま僕のブログを開いてこのページを見ていただいているほとんどの方は警察官になりたいという気持ちがある方です。

 

そして何とかして警察官になりたいのに試験に受からない。

そういった悩みを持った方ばかりです。

警察官採用試験、身辺調査

 

僕はその気持ちがとてもよく分かるんです。

僕だって警察官に採用されるまで3年もかかりましたからね。

そこで今回は「なぜ面接で落とされるのか」というテーマでお話しします。

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試験に落ちた時に下手な励ましはいらない

警察の試験は年に3回あります。(自治体によって差はあります)

計算すると4か月に1回ですね。

そして4か月に1回試験があるんだから落ちても次また頑張ればいいじゃないか、という気楽な励ましが逆効果なのはよく分かります。

面接に落ちた時の自己喪失感

面接に落ちると自分という人間を否定されたような気になるんですよね。

面接で自分自身を表現して全てさらけ出してるのにあっさりと落とされたとき、自分自身への怒りや悲しみ、劣等感や敗北感、屈辱に襲われます。

 

警察官採用試験という特殊な試験に合格しないのはもしかすると親族に問題があるのではないかという猜疑心。

自分という性格を形成した親への怒りと不信感。

 

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また一次試験の受験カードを1から書き始めたときの絶望感。

早く警察官になって困っている人を助けたいのになぜか試験に受からない。

 

そしてネットで警察試験の情報を検索していると「警察官にそこまで興味なかったけどとりあえず受けたら一発で合格。でもすぐに辞めてしまった」という書き込みを見た時はもう何とも言えない気持ちが溢れてきます。

 

なんで自分じゃないんだろう。

自分ならやる気もある。

こんなにも頑張ってきたんのにどこが違うんだろう。

 

「頑張れ」って言われたら「もうこれ以上頑張れないよっ」て言い返したくなること、ありませんか?

限界まで頑張ってるんですから当然ですよね。

【関連記事】警察官になれるのか不安になった時は

 

でね、二次試験に落ちた人に言いたいのは「あなたのままで大丈夫ですよ」ということです。

無理に自分を変えたりする必要はありません。

誰かを恨んだりする必要もありません。

面接を必要以上に大きく捉える必要はない

焦る気持ち、イライラする気持ち、不安になる気持ち、よく分かります。

それでも面接で落ちたというのは自分を否定されたのではなくて「面接で落ちた」というだけのことなんです。

【関連記事】警察試験の入退室の間に面接官が重視することと不合格になる仕組み

 

僕は受験生時代に多くの受験者と仲良くなったんですが、その内の一人が最終試験で落ちた時に自分の成績を情報開示請求(自治体に文書の公開を求めること)したんです。

そうするとあと5点で合格していたということが分かりました。

つまり体力試験か面接で他の人よりもあとほんの少し差をつけていれば今頃は警察官の制服を着て街中を走り回っていたんですよ。

競争試験は無情なもの

宇多田ヒカルの歌に「誰かの願いが叶うころ誰かが泣いている」という歌詞がありますが、試験はそういう無情なものです。

全員が合格する試験ではない以上、競争試験というものは誰かが合格すれば誰かが不合格になるんですよね。

警察官,二次試験、不合格、原因

たった5点で落ちてしまう。

点数で計るってほんとに無情だと思います。

自分のやる気や熱意を数値化できないんですから。

【関連記事】警察官採用試験の配点と面接対策について

 

自分より明らかにやる気のない人が合格する不条理。

これも現実です。

それでね、僕は不合格通知がきた時に合格した人と自分の何が違うのかを考えて研究しました。

 

そうすると合格者に較べて劣っている部分が見えてきました。

それは自分自身を表現する力です。

熱意がどれだけあってもうまく表現できないと伝わりません。

面接に合格できる時は自分を上手く表現できた時

面接に合格するというのは「自分を表現する能力」があるということです。

自分を表現する能力が高いというのは「自分の長所や熱意を伝えるのが上手い」ということです。

そこまで警察に興味がない人が合格できたのは面接でうまく自分を表現できたというだけなのです。

 

それならいつも試験に落ちる自分は長所や熱意を見せるのが下手だから面接には合格しないのかと悲観的になる必要は全くありません。

自分を表現する能力というのはコツが分かればぐんぐん伸びていきます。

 

面接で落ちたことがある人にお聞きします。

面接を受け終わったときに「面接官ともっともっと話したい」と思ったことがありましたか?

面接官から「はい、これで終わります。」と言われた時「やっと終わった」とホッとしませんでしたか?

 

もしやっと終わったとホッとしたなら間違いですよ。

面接は自分を売り込む場です。

相手にもっともっと自分という人間を知って欲しいと思うのが普通なんです。

志望動機を覚えただけでは合格できない

頭に叩き込んだ台本を読むだけの面接なんてただの下手くそな発表会です。

「もっと話したい、もっと聞いて欲しい。」という気持ちになったとき、知らず知らずのうちに姿勢が前傾姿勢になっているかもしれません。

面接官とも話が弾んで面接官も一緒に笑っているかもしれません。

【関連記事】警察官になりたいのに志望動機が見つからない理由

 

そうなった時、面接官はあなたに好意を感じます。

人間は好意を感じた相手のことをもっと知りたくなるので、面接官は好意をもった受験者にどんどん質問します。

 

こちらも面接官の好意が分かるから緊張もほぐれて上手に話せます。

こうなれば熱意がグイグイ伝わるんです。

これが手ごたえのある面接、合格する面接です。

面接で必要なこと

そして具体的に面接で何が大切なのか。

それは面接官という人から見て「こいつと一緒に働いてみたいな」と思われる人物になるのが合格への一番の近道なんです。

面接、二次試験

合格した数年後には面接官があなたの上司になっている可能性があります。

こういうケースって意外とあるんです。

面接官も普段は警察署で働く警察官ですから。

 

あなたが合格した数年後、当時の面接官が仮に上司になった場合にあなたを見て「うーん。こいつとは働きたくないなあ」とはきっと思わないはずです。

なぜなら面接で合格させた人というのは「自分が将来一緒に働いても大丈夫と最低限思える人物」を選んでいるだけなんですから。

これって考えたら当たり前の話ですよね。

面接は平均点で良い

面接に特別な採点方法なんてありません。

警察官になりたいという自分を制限時間内に表現できれば合格するんです。

平均点で良いんです。

とんでもないミスさえしなければ受かるんです。

これは警視庁でも大阪府警でもどこで受験しても同じです。

【関連記事】警察官に中途採用で転職する難易度を解説します

 

公務員は全体の奉仕者です。

その公務員を選ぶ試験なんですからとんでもなく有能である必要なんてありません。

あなたはあなたのままでも十分に合格できるんです。

 

面接では「大失敗」さえなければ平均点以上を取れます。

面接官に「絶対にこいつと働きたい」と思わせる必要なんてないんです。

「こいつと一緒に働いてみてもいいかな」と思ってくれれば平均点で合格できるんです。

警察官、採用試験、面接、二次試験

100点を取る必要はなくて60点で合格できると聞けば安心できたでしょう?

落ちる人は大体が知らず知らずの内にとんでもないミスをやらかしているか、上で説明したように「あと5点」という僅差の壁にいる人です。

緊張するのが普通。あとは面接慣れだけ。

もしとんでもないミスをしているとすれば自分では気づけないので知人に面接の練習をしてもらえれば良いでしょう。

面接の上手い人に自分を客観的に評価してもらえれば面接の力はグイグイ伸びます。

 

僕は元商社の年配女性に面接練習をしてもらったのですが、最初は緊張して日本語もまともに話せませんでした。

それでも数回面接練習をすると志望動機や自己PRが世間話をするように自然と説明できるようになり合格できました。

 

面接で落ちるのは自分の存在を否定されているのではなくて、面接という時間制限の中で上手く自己表現できていないだけの場合がほとんどです。

熱意があればそれだけ緊張しますし、しどろもどろになるのも分かります。

だからこそ熱意がない人の方がスラスラと緊張もなく話せて合格するという矛盾した現象が起きるのです。

 

面接で落ちて悩むというのはそれだけ熱意がある証拠なのですからうまく伝われば間違いなく合格します。

大丈夫です。

熱意がない人は面接に落ちたら「やっぱり自分は警察に向いてないってことだな」って1回で諦めますから。

 

2回以上も試験を受けることはあなたが警察官になりたい証で警察官に向いているという証なんです。

市民はそれだけ熱意がある警察官を求めています。

とりあえず公務員になった警察官よりも泥臭く努力した警察官に治安を任せたいのは当たり前のことですよね。

 

あとは慣れと自信だけです。

それを僕はこのブログでお伝えしたいと考えています。

こちらの記事「警察官採用試験の二次試験は圧迫面接?質問内容は?」で面接内容も説明していますので参考にしてください。

 

よくネットに「警察官採用試験の面接で〇〇を言ったら落ちる」とか勝手なことが書かれていますが、そんなもの存在しません。

面接官が欲しい回答の60パーセントを答えることができれば合格するんです。

不合格になる人はそれが平均点に達していなかっただけです。

対策を練れば合格できるので考え過ぎず、その熱意を持ったまま最短で警察官になりましょう。

 

18 件のコメント

  • 先月の終わり頃、桜井さんのブログに、コメントさせて頂いた夏と申します。今朝、県警の最終合格発表がありましたが残念ながら不合格、でした。受験した部類は2名しか合格者がいないという狭き門でした。家族から期待されてただけに桜井さんのブログを読んで涙が出ましたが来年は4つの県警を受験したいと思います。

    • お久しぶりです。
      不合格だったのですね。
      それでもこの経験を乗り越えれば間違いなく糧になります。
      前向きに捉えればきっと転機は訪れますから、来年こそ合格して制服姿をご家族に見ていただきましょう。
      応援していますね。

  • 桜井さん、お返事を頂きありがとうございました。
    来年は良い報告が出来るように頑張ります!

  • 警視庁のⅢ類を受験した息子の母です。
    受験は二回目でした。
    去年は二次試験で不合格。
    今年は一次試験で不合格でした。

    甥っ子も一緒に受験したのですが、
    二人して後から自己採点を行ったところ、
    現役高校生の甥っ子の方が点数が低く
    息子はちょっと安心してましたが
    結果は甥っ子の方が合格。

    筆記試験は、何かの加点があるのでしょうか?

    • 今回も同様のご相談をいただくことも多いので『何らかの加点措置はある可能性はある』と思われます。ただ確定ではないのでまずは漢字試験と教養試験の点数を上げることが大切となります。
      お母様も立場的にお気を遣われるところでしょうが、ぜひ息子様の精神的なサポートをしてあげてください。

  • 福岡警察最終で落ちました。26歳の者です。6回落ちました。ひき逃げ事故にあった経験からそのような事故を減らしたいと思っていて志望しました。学生時代から受けててその思いが強くて一年前に仕事を退職してフリーターになってこの一年福岡だけでなく他府県も受けましたけど全滅でした。向いてないのでしょうか?諦めた方がいいですか?新卒で就職した会社も一年未満で辞めてどうしたらいいか途方に暮れています。ご意見頂けたら幸いです

    • 他府県も落ちたということは対策不足が原因だと思われます。
      ひき逃げ事故にあった経験を強く押しすぎていませんか?
      志望動機等でも偏ったことを主張する方が多く、全体を見ずに受験する方が増えているのでまずは研究を進めてみてください。

      • なぜひき逃げ事件を押すのはダメなのでしょうか?
        あくまできっかけなのですが、内容が暗いからでしょうか?

        • 申し訳ありません。何について言及されているのか全く分からないのですが、相手が受ける印象について俯瞰的に想像する必要はあります。
          こちらが伝えたいことよりも相手が知りたいこと、興味を持つことを把握して伝えることが大切です。

  • 初めまして!今年初めて採用試験を受けて、2次にて向けて対策中の者です。いつも興味深く読ませていただいています。

    心身の健康状態を記入する書類が送られてきたのですが、実は以前DVの被害に遭い大怪我をしたことがあります(被害届は出さなかったものの、警察に調書などの履歴はあると思います)

    書類の「過去の傷病歴」の項目に該当する傷病名があったので記載したのですが、深掘りされた際にマイナスイメージが付かないか心配しています。

    • 調書の履歴があるのか等についてはここでは伏せますが、過去の傷病歴について全てを記載する必要があるのかは少し疑問です。
      私も今思い返せば少年時代に大怪我をしたこともありますが、そんなことは試験に関係ありませんし生活には全く支障もないので書類に書いたことは1度もありません。
      傷病歴とは業務上で支障のあることを申告するものだと思うのですが、あまり全てを正直に話すことが正解ではないと個人的に感じます。

      • お早いお返事ありがとうございます!
        以前のことは該当の傷病を含め警察も把握しているので、記載しなくても身辺調査で分かってしまうと考えてしまいました。
        そうすると隠したことが分かってしまうので、逆に悪印象かと思ってしまいました。

        書かなくても良かったかもしれませんね。面接であまり突っ込まれないように祈ります。
        ちなみに身辺調査の際は逮捕歴などは問題になるかと思うのですが、被害歴のようなものは調べるかご存知ですか?

        • 伝える必要のないデメリットやマイナス面は無理に伝える必要がありませんし、隠すのではなく不要な情報の選定は大切です。面接はカウンセリングではないと説明してきたのはそれが大きな理由です。
          調査内容等については言及を控えますが、良い結果が出ることをお祈りしております。

          • ありがとうございます!
            書いてしまったことは仕方ないので、アピールポイントを精一杯伝えたいと思います。

            お忙しい中お返事ありがとうございました!

  • 小学6年生の時に友人と万引きをしてしまってお店側にバレて、親と学校の先生を呼ばれて怒られた事があるんですが、これは面接シートの事件等の欄に書くべきでしょうか?
    因みに警察の方々は来なかったです。

    • 書くべきか、書かないべきかはご本人次第なので私からは明言を避けさせて頂きます。
      ひとつアドバイスしますと『事件』という言葉の意味を調べてみると警察の仕事について更に理解が深まると思います。

      • ご返信ありがとうございます。
        実は一昨年受けた警察官採用試験の前科、前歴欄の箇所に万引き経験有りと書いてしまったんですが、次警察官採用試験を受ける時この事は相手側に知られているのでしょうか?

        • それは自治体の採用側次第ですので他の誰にも明言が出来ない内容です。自己責任で判断すべきことなので、間違ってもヤフー知恵袋等で質問しないように注意して下さい。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    ・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。