このブログ『リクストリーム』管理人の元警察官・桜井です。
警察官採用試験を受けている社会人の方から、
僕は毎年こんな相談を受けます。
「前職が警察と関係ない仕事なので不利でしょうか」
「社会人からの受験は、やはり厳しいですか」
「何回も不合格なのは、経歴のせいなんでしょうか」
結論から言います。
前職が理由で警察官採用試験に落ちることはありません。
ただし、
前職を“どう捉え、どう伝えているか”によって、
不利にも、強みにもなります。
実際に、
現職に強い不安を抱えながら何度も不合格を経験し、
それでも最終的に地元県警へ合格した社会人受験生がいます。
この方をご覧ください↓
この写真の方が、今回紹介する講座受講生の黒木さん(男性・仮名)です。
警察官に転職したいけど、仕事内容が全然違う。そのアピール方法は?
黒木さんの現職は、市役所の会計年度任用職員としての家庭ごみ収集業務でした。
・暑い日も
・台風の日も
・一般的には「いわゆる3K」と言われがちな仕事
・時には差別的な言葉をかけられることもある現場
一見すると、
警察官とはまったく関係のない仕事に見えるかもしれません。
しかし、黒木さんが合格できた理由は、
前職が特別だったからではありません。
前職を
「警察官に求められる資質」という視点で分析し直し、
自己流を捨てて、評価される形に修正したこと。
それが、合格の決め手でした。
今回は
・なぜ不合格が続いていたのか
・どこをどう修正して合格に至ったのか
・警察と全く関係ない仕事でも合格する方法
を、元警察官・採用側の視点で解説します。
警察官採用試験で「前職が不利だ」と感じてしまう理由
社会人受験生の多くは、こう考えがちです。
・警察と無関係な仕事をしてきた
・公務員ではない
・特別な実績がない
その結果、
「自分はスタート地点で不利なのではないか」
と感じてしまいます。
しかし、採用側の視点で見ると、
前職そのものが合否を左右することはほぼありません。
評価されない原因の多くは、
・前職(現職)で得たアピールポイントを自分自身で理解できていない
・警察官に求められる資質と結びついていない
この2点です。
前職は警察官採用試験で本当に不利になるのか?
結論は、はっきりしています。
前職そのものが理由で、警察官採用試験に不合格になることはありません。
これは、僕が警察官として勤務し、
その後、警察官採用試験対策に長年関わってきた立場から断言できます。
警察官採用試験で評価されているのは、
どんな仕事をしてきたかではなく
・その仕事を通じて何を身につけたのか
・警察官という仕事に、どう結びつけて考えているのか
この2点です。
逆に言えば、
どれだけ「警察と関係ありそう」に見える前職であっても、
・経験を自分の言葉で説明できない
・警察官の職務と結びついていない
この状態であれば、評価されません。
社会人受験生が不合格を繰り返してしまう本当の原因
社会人受験生が不合格を繰り返すケースには、
いくつか共通点があります。
その中でも、特に多いのが次の3つです。
・前職(現職)の経験を「事実の説明」で終わらせている
・警察官に求められる人物像を理解しきれていない
・自己流で対策を続けてしまっている
黒木さんも、まさにこの状態でした。
決して努力していなかったわけではありません。
むしろ、真面目で、かなり勉強もしていました。
それでも不合格が続いた理由は、
「努力の方向がズレていた」からです。
黒木さんが不合格を繰り返していた理由(本人の自己分析)
黒木さん自身は、
これまでの不合格理由を次のように分析しています。
・自分を良く見せようとする受け答えをしていた
・聞かれたことに対して、端的に答えられていなかった
・答え方、話し方に違和感があった
・想定質問の回答を“確認するように”話していた
・面接カードの内容が薄かった
・警察の仕事の本質的な部分を理解できていなかった
・インターネットの情報ばかりを鵜呑みにしていた
これは、社会人受験生に本当によくある失敗パターンです。
例えばこの記事←を読めば警視庁の初回特典などデマだと分かるでしょう?
前職を「不利」から「評価」に変えるために講座で伝えたこと
黒木さんが講座に入って最初に僕が伝えたのは、
テクニックではありません。
「その経験は、警察官にどう役立つと思いますか?」
という問いでした。
家庭ごみ収集業務という仕事は、
・時間厳守
・安全確認
・住民対応
・理不尽なクレームへの対応
・暑さや悪天候の中での継続的な業務
こうした要素の集合体です。
これを
「ただ大変な仕事でした」で終わらせるのか、
それとも
「公共の安全と生活を守る仕事として、どう向き合ってきたか」
まで言語化できるのか。
ここで評価は大きく分かれます。
黒木さんが自己流を捨てて合格できた理由
黒木さんが合格できた最大の理由は、
自己流を捨てたことです。
自分の考えが正しいと思い込み、
都合のいいアドバイスだけを拾う。
これは、社会人受験生ほど陥りやすい罠です。
黒木さんは、
・面接カードの内容
・志望動機
・自己PR
これらを、
「自分の書きたい内容」ではなく
「評価される内容」へ修正していきました。
正直、
添削後の文章を見たとき、
最初は違和感があったと思います。
それでも、
「自己を捨てて対策する」
という選択をしたことが、合格につながりました。
黒木さんの合格報告(原文そのまま掲載)
1.これまでの受験歴を分かりやすく教えてください。
2024年
兵庫県警 不合格
愛媛県警 不合格
德鳥警不合格
2025年
京都府警 不合格
地元県警 合格
2.合格した今、これまでを振り返って思うこと。
大学時代の同期や小中学校時代の同級生達が正社員として働く中で、
「俺は何してるんやろ」という気持ちになり、
お先真っ暗な日々を過ごしていました。
何も言わずに応援してくれる人がいる一方で、「お前は警察官に向いてないよ」とか、
「遠回して人生もったいないな」と言われることもあって、
努力を否定されているようで、とても辛かったです。
3.今まで面接で不合格になっていた理由は何だと思いますか。
・自分を良く見せようとする受け答え
・聞かれたことに対して、端的に答えられていない。
・答え方、話し方に違和感がある。
・想定質問に対する回答を確認していた。
・面接カードの内容が薄い。
・警察の仕事の本質的な部分を理解できていなかった
・インターネットの情報ばかりを呑みしていた。
4.自分自身の嫌いなところ、コンプレックスは?
自分の人生がかかっているような面で、人一倍緊張してしまい、
あがり症のような感じになってしまうところです。
5.今回、この部分を改善しなければ合格できなかったという点は何かあったか?
もともと自分の考えが正しいと思いがちで、何でも自己流でやってしまう性格でした。
誰かにアドバイスを求めても、返ってきた言葉が自分の欲しかった言葉ではなかったら、
自分の考えを貫くような感じで対策していました。
ただ、不合格になった原因はたくさん考えられたので、
自己流ではなく周りの人の力を借りながら、
面接日まで穴がないようにトレーニングしました。
面接カードを添削していただいた時、正直自分の思い描くものとは全く違うような文章が返ってきましたが、
桜井さんをはじめ、家族や周囲からいただくアドバイスを受け止めて、
自己流を捨てて対策をしたことが合格に繋がったように思います。
6.警察官採用試験に何度も不合格になっている方へ伝えたいこと
私は他県警を含めると、4回不合格になりました。
自分なりに努力して、毎日寝る間を惜しんで勉強しているにも関わらず不合格。
「なんでなん」と何度も思いました。そのため、何度も不合格になっている方の
気持ちは痛いほどわかります。
ただ桜井さんの講座を受講し、合格をいただけた今、これだけは言えます。
「自己流を捨てて正しい方向で努力をすれば必ず合格は勝ち取れる」
自分自身を客観視して、マイナス要素を徹底的に操り、改善することができれば
誰しも合格は勝ち取れます。
7.警察官採用試験の面接で合格する大切なポイントを3つ挙げるとすれば?
・自分を飾らず、会話を意識する。
・想定質問に対する回答を暗記しない。
・どんな質問が来ても、ポジティブに捉えて返答する。
8.今回の面接試験を受ける前に注意したこと意識したこと。
・県内の交通事故件数、死者数、詐欺被害件数等、統計データの数値を頭に叩き込んだ。
・面接カードを何度もブラッシュアップして、完成度を高めた
・想定質問に対する回答を箇条書きで整理して、自分の言葉で話す練習を繰り返した。
・暗記しないが、嫌でも覚えてしまうくらい答える練習をした。
・練習でも、相槌を入れながら答えるように意識した。
9.今はどのようなお仕事ですか?やりがいはありますか?
市役所の会計年度任用職員として、家庭ごみの収集業務に従事しています。
天候に関係なく、暑い日も台風の日も作業をするので大変ですし、一般的に
汚れ仕事というイメージを持たれていて、差別的なお言葉をかけられることも
少なくありません。
ただそれでも一部の地域の方々から感謝のお言葉をいただいたり、
仕事ぶりを褒めていただいたりした時には、この仕事をしていて良かったなと思います。
10.学生の時、スポーツや勉強はできたタイプですか?高校生の時はどんな学生でしたか?
小学2年生から中学3年生の間と大学での4年間、野球部に入っていました。
スポーツはかなりできる方だと個人的に思っています。
一方で、勉強に関してはもともとかなり苦手だったので、
高校では部活に入らず、勉強ばかりしていました。
11. 警察官の魅力とは?本音で教えてください。
かっこいいです。
何より警察官という響きがいいですね。
12.ヤフー知恵袋やSNS等の警察官採用試験情報について、合格した今『これはデマだ」と分かったこと。
※「デマと分かったこと」に関する内容については
本人および関係機関への配慮から内容を伏せて掲載しています。
ご了承ください。
13.「警察官採用試験の面接に落ちる人』の特徴として、気付きがあれば教えてください。
・聞かれたことに対して端的に、的確に答えていない。
・面接カードの内容が薄い(具体的エピソード、根拠がなく、抽象的)
・オドオドしている(声が震える)
・面接の入退室で、ネットに書かれてある作法にとらわれすぎる(逆に不自然に見える)
・はい、○○です。その理由は○○だからです。」と全ての質問に対する答え方が同じ。
(ロボットのように見える。聞かれていないのに理由を答えないように!)
※あくまで個人的な見解
14.過去の自分に警察官採用試験のアドバイスをするなら、何とアドバイスしますか?
「人に開け、自己流でやるな」と言いたいです。
現職の上司の方から掛けられた言葉で「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の後悔」
というものが心に刺さりました。
自己流でやって上手く行かなかったので、自己流を捨てて、
桜井さんにアドバイスを求めるようにしたことが合格に繋がったと思います。
15. 仕事をしながら、どのように試験対策しましたか?しんどくなかったですか?
現職ではごみ収集の仕事をしていて、頑張り次第で早く終わることができるので、
作業が終わってからの時間を筆記試験の対策に充てていました。
自宅に帰ってからは、自己分析や面接対策をしたり、
受験する県警や地域の情勢を調べたりしていました。
体力的にも精神的にもかなりきつい仕事ですが絶対に合格したいという
気持ちがあったので乗り越えることができました。
16.今回の受験で合格できた決め手は何だと思いますか?
昨年の受験期間は、大学を卒業しているにもかかわらず、無職で受験していました。
そのため、社会人としての強みもなく、エピソードもなかったため、面接でアピールする
ことができませんでした。
ただ今年は、ごみ収集の仕事で地域の方々との関わりを大切にしたり、
責任感や忍耐力に磨きをかけたりしてきたので具体的なエピソードを話せたことは、
1番の決め手になったように思っています。
17. 講座を受講してみて感じた率直な感想や、苦しかったことを本音で教えてください。
合格を勝ち取れただけでなく、1人の人間として成長できたように思います。
厳しいご指摘をたくさん受けて、悩むこともありましたが、
ネットの情報よりも有益なご指摘をたくさんいただけたので、
桜井さんを信じてついて来て、本当によかったです。
18.私の講座に入校して、合格まで何か月かかりましたか?
正確な期間は覚えていませんが、約6ヶ月です。
19. 面接対策について、最初考えていたことと、講座を受講した後に何か違いはあったか?
「○○と答えたらいいよ」というようなありきたりの指導なのかなと思っていましたが、
実際に受講してみると、あえて自分で考えさせるようなヒントを与えてくださる指導だったように思います。
20. 受験者へのエールなど、何でもご自由にご意見ください。
私は他府県警を含め、5回目で合格することができました。
合格するまでは、自分は警察官には不適な人間なのかなと悩んだこともありました。
ただ、合格をいただけた今だからこそ言えることは、正しい努力を知らずに、
闇雲に頑張っていただけだということです。
個々の能力は違えど、正しい努力を知り、警察官に求められる人物像にどれだけ
近づくことができるかで、合格は勝ち取れます。
転職回数が多くても、違反歴があっても、今をどう頑張っているかが評価される。
私はそれが警察官採用試験だと思いました。
警察官を受験するみんなの頑張りを、桜井さんの力も借りながら正しい方向に
持っていけば、必ず合格できます。
いつか桜井さんの講座を受講した後輩警察官に出会えるように、
みんなのことを応援しています。
なぜ黒木さんは「軌道修正できた」のか
ここまで読んで、
「面接対策を一人でやるのは難しい」
そう感じた方も多いと思います。
実際、黒木さんも最初から
自分で前職を正しく言語化できていたわけではないのです。
多くの社会人受験生と同じように、
自分では頑張っているつもり
それなりに調べている
面接対策もしている
それでも
「どこがズレているのか分からない」
という状態でした。
僕の講座で行っているのは、
「評価される形に直すこと」そのものです。
志望動機や自己PR、論作文についても、
ここが弱い
ここを直した方がいい
とコメントを入れて終わり、ではありません。
受講生が書いた文章を一度すべて預かり、
警察官採用試験の評価基準に沿った文章に、僕が一から書き直して返します。
そのうえで、
なぜこの表現にしたのか
なぜ元の書き方では評価されないのか
を一つずつ説明します。
「自分の文章が、どう変われば評価されるのか」
を、実際の完成形で理解してもらうためです。
今はAIで文章添削もできる時代です。
でも元警察官として、そして現役人事として採用側の視点を知っている人間が、
人事評価を前提に“完全に書き直す”講座は他にありません。
また、内容によっては
「それは話さない方がいい」
「そのエピソードは、今は出さなくていい」
といった判断も必要になります。
実際、別の受講生では、
過去の個人的な被害経験を面接で話すべきか
それがマイナス評価にならないか
といった、非常にデリケートな相談もありました。
警察官採用試験では、
「正直に話すこと」と「評価されること」は必ずしも一致しません。
何を話し、何を話さないか。
どこまで出し、どこで止めるか。
その線引きまで含めて指導することが、
結果として合格につながっています。
この画像をご覧ください。
何度も何度も僕が添削して、時には厳しいことも言いました。
黒木さんの合格は、
特別な才能の結果ではありません。
「前職は不利だ」という思い込みを捨て、
評価される形に翻訳し直しただけです。
もし今、
あなたが同じところで立ち止まっているなら。
一人で悩み続けるよりも、
一度、第三者の視点で修正してみてください。
特に、
・社会人で不合格が続いている方
・前職に引け目を感じている方
は、一度立ち止まって見直してほしいと思います。
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