警視庁一次試験の論作文(小論文)の模範答案を全公開します

警視庁、論作文、採用試験、テーマ

リクストリーム管理人の元警察官・桜井陸です。

今回は警視庁が採用試験で実際に出題した論作文のテーマに沿って答案を作成します。

警視庁一次試験の論作文(小論文)の模範答案を公開

前回は地方公務員(神奈川県職員)でしたが書き方に大きな違いはありませんので参考にしてください。

 

ただ警察官という職業上、志望動機等の盛り込み方が一般公務員とは若干異なります

今回も僕は時間を計り、実際に原稿用紙に記載して作成しました。(当然ですが試験では漢字変換ができませんし文字を書く時間、消す時間も試験時間に含まれるため受験生と同条件で答案を作成しました。)

 

小論文の答案内に記載している赤字部分は後で説明します。

【時間】80分   【字数】1000字程度
東京都民が警視庁に対し期待していることについて述べ、警視庁警察官志望者として、その期待にどのように応えるのか具体的に述べよ。

私が志望する警視庁は日本の首都東京を守る警察であり、日本の砦である。

この東京に住む東京都民が警視庁に対し何を期待しているのか。

それは大きく分けて2つあると思う。

1つ目は治安維持、2つ目は地域住民との連携強化である。

まず一つ目の治安維持であるが近年は国際テロが多く発生して各国の治安を脅かす存在になっている。

日本でも2020年に東京オリンピックが開かれることから経済の発展が期待できるとともに治安悪化も懸念されており、その中でもイスラム国やアルカイダ等の国際テロリストはもはや軽視できない存在である。

国会議事堂や原発関連施設といったハードターゲットを狙った犯罪や各国首脳も集まるオリンピック会場という大多数無防備な民間人が集まるソフトターゲットが狙われる可能性も高い。

そういった未曽有の犯罪に対応できる柔軟で強い警察を目指すためにも国内だけでなく国際情勢の変化にも順応することが求められる。

そのためには語学や各国の文化を勉強し、法律以外にも多種方面に精通したスペシャリストとしての警察官が求められているのは間違いない。

また近年は高齢者を狙った特殊詐欺が台頭しており特殊詐欺の認知件数は平成29年8月末で2,117件と前年よりも936件上昇するなど異常な事態となっている。

振り込め詐欺被害が急増した原因として、私は高齢者の犯罪に対する認識不足、そして地域社会と高齢者のつながり不足が問題だと思う。

そのためにも警察は高齢者に対する積極的な広報活動と訪問活動の強化、独居老人世帯の把握が必要であり、地域社会に対しても高齢者への理解と応援を求める姿勢が必要である。

2つ目に挙げた地域住民との連携強化はそういった部分も含んでおり、地域社会で高齢者を見守る体制作り強化して更には非行少年の減少を目的とした地域浄化活動を地域住民と連携して行えばますます住みよい東京になるのは確実であり、そういった姿勢を都民は望んでいるはずである。

また、社会的弱者である子供や高齢者を地域で見守る社会になれば必然的に犯罪抑止につながり、急増している高齢者の事故防止にもつながるのは間違いない。

1300万人を超える東京都民を守る警視庁の警察官として、またこれからの国際化を担う大切な役割を期待されている警察官として、私はその重責性を理解し自分がこれまで培ってきた〇〇を活かして更なる東京の躍進を支える一員として働く所存である。

警視庁の論文試験について

40分で完成したので10分見直しました。

文字数は約990文字です。

行政職の小論文と違い、警察はテーマが「治安維持と防犯」と大筋で決まっているので書きやすいです。

 

 

さて、今回僕が作成した警視庁小論分について文字数は1000文字ということですので試験では最低でも950文字は記載しましょう。

1000文字程度ということなので1050文字程度ならオーバーしても構いません。

字数が足りないとやる気がない、問題提起されても回答する能力がないとみなされます。

 

実際、警察官の昇任試験では原稿用紙を全て埋めるまで記載しなければ合格することは難しいのです。

警察学校でも書類を提出した学生の中には教官から『きちんと行は埋めろよ。そうしないと不真面目と思われるぞ。』と指導される人が必ず1人はいました。

社会人として当たり前の行為なのですが、『与えられた書類を埋める』という行為が最初は難しいのかもしれません。

警察官採用試験の論作文を作成する上で必要なこと

公務員の小論文テーマを作成するにあたっては新聞やニュースをよく読む必要があります。

時勢、新しい法律の制定、国際行事や国際問題、政治ニュースなど日々変化しています。

それをメモしておくだけでライバルにはかなり差がつくのです。

警察の文章で求められる起承転結について

今回なら「都民が警視庁に期待すること」という設問で

東京の治安→東京の現状→近年の犯罪傾向と対策→志望動機に絡めた結びの言葉

という起承転結がぼんやりと作れます。

 

そこでこれからの東京といえば東京オリンピックですからそこに近年の犯罪傾向など自分の覚えたワードを盛り込めば論文は完成できます。

赤字部分の解説

さて、赤字で抜粋した部分を解説しましょう。

  1. 日本でも2020年に東京オリンピックが開かれる
  2. 国会議事堂や原発関連施設といったハードターゲット
  3. 大多数無防備な民間人が集まるソフトターゲット
  4. 未曽有
  5. 特殊詐欺の認知件数は平成29年8月末で2,117件と前年よりも936件上昇
  6. 高齢者に対する積極的な広報活動と訪問活動の強化、独居老人世帯の把握が必要であり、地域社会に対しても高齢者への理解と応援を求める姿勢が必要
  7. 地域社会で高齢者を見守る体制作りを強化して更には非行少年の減少を目的とした地域浄化活動
  8. 1300万人を超える東京都民
  9. 自分がこれまで培ってきた〇〇

 

1のオリンピックに関しては警察官を受験する人は開催年だけは記憶しておきましょう。

警視庁だけでなく北海道警や沖縄県警、大阪府警の警察官でも東京オリンピックが開催されれば応援に行きます。(実際、私にも声がかかっていました。)

 

ですので最低限の知識は持っておくのが必要です。

僕も念のために試験に出そうな時事ワードは集めておきますね。

 

2、3のソフトターゲット、ハードターゲットという言葉は知っていましたか?

これは受験者でも知らない人がかなり多いでしょう。

なので知っておくだけでポイントアップです。

 

4の未曽有(みぞう)という言葉は警察の論文でどのテーマが出ても色々と使えるので覚えておいて損はない漢字です。

 

5は記憶しておくべき内容です。

どの自治体を受験しても使えるワードなので便利ですし勉強している証明になりますよね。

 

6と7は警察官昇任試験でも使われる言葉警察のお偉いさんが大好きなフレーズです。

これは警察官しか使わない独特の言い回しなので覚えておいて論文に書けばポイントが上がります。

 

8は警視庁を受験するなら必須で覚える部分ですね。

 

9は自己アピールです。

例えば柔道や剣道をしていたならそれを書けばいいですし、語学でも構いません。

培ったものがないならどうすれば良いんですかという方には、試験前に自己アピールを探しておくことを強くお勧めします。

運動や勉強以外にもボランティアをしたりバイト先で店を任されて責任感が強いとか書ける要素はありませんか?

それでも見つからないという方は私に相談してきてください。

警察官と論作文

論作文は定められた字数を守り、与えられたテーマに沿って時間内に文章を構成する能力を見られる試験です。

とくに警察官は文を書くことが仕事なので文章構成能力を重要視されます。

それ以外にも警察試験は独特な視点で採点しているのですがそれはまた次回に書きましょう。

参考になれば幸いです。

 

また、警視庁の面接について読者様から雰囲気や質問内容等の情報をいただいたので下記記事も参考にしてください。

13 件のコメント

  • 30歳、現在無職ですが警察官志望で学校に通っています。受かる可能性はどれくらいあると思いますか?

    • 勉強方法さえ間違わず、あとは熱意とやる気があれば可能性は無限大です。
      年齢など関係ありませんから大丈夫です。
      応援しております。

  • 忙しいところすいません。
    論作文において、自己アピールを書く際は体験談やエピソードを入れた方がいいでしょうか?
    それとも、大きく触れず、自己アピールだけ言うというのはありだと思いますか?

    • 内容が分からないので安易なご返答は控えておきますが、論作文で起承転結の構成をする場合に真実性等を表現する場合はセオリーの書き方があるのでその部分をよく勉強されると良い結果が得られるはずです。

  • 突然の質問お許しください。
    2次試験の発表が間近に迫っていますが、合格した1次試験での論文ですが、考えすぎて800字以内の字数を7割弱しか書けませんでした。
    これは合否にかなり影響する物でしょうか?
    これが気がかりで憂鬱な毎日を過しております。自分の失態ですが、ご返答委いただけると有り難いです。
    何とぞよろしくお願いいたします。

    • 合否の判断をするのは警察の上層部ですから安直な回答は控えておきます。
      ただ、良いか良くないかでいうと勿論良くはないので普段から書く練習をしておいて下さい。

      何度も練習を重ねると自分の型が決まっているのでどのようなテーマが出されても困ることはありません。
      まずは練習あるのみです。

  • 忙しいところすいません。
    あと1ヶ月程しかないのですが、作文対策を今からしても間に合いますでしょうか?
    後どのような作文対策をすればいいでしょうか?
    もし良ければ教えてください。お願いします。

  • 警察行政職員を希望しているのですが、行政の論文試験に対応している参考書や、ホームページがあまりないため困っています。
    行政職員では警察官と違ってどのような論文問題がでるのか。対策は変わってくるのか。など、教えて頂きたいです。

    • 人事院には質問されましたか?
      インターネットの手軽で浅い情報だけを求めるよりも、自分から動いて情報を集める積極性を持って下さい。
      合格する人は自発的に動いています。求めるだけではいつまで経っても受け身のままなので、社会人になるならば試験の前に『社会人に必要な考え方』を身に着けておくことを強くお勧めします。
      これらは面接でも取り繕うことができない部分なので、本番までにしっかりと磨いておいて下さい。

  • はじめまして私は現在、自衛隊に4年間在職している現役の自衛官なのですが、来年の令和4年度の9月に実施される警視庁3類を受験したいと考えています。そこで私は過去にも警視庁を受験して不合格になった過去があり、初回受験者を優遇する噂や2次試験などで何らかの不利に繋がることはありますでしょうか?

    • 受験するならばネットのデマや噂を妄信することなく、なぜ不合格になったのかを考えて下さい。
      自衛隊の方は組織の独特な考え方が染み付いている場合も多いので、世間とのズレや乖離を確認することが何よりも大切になります。

      • なるほど、確かに努力が足りないなと感じた点はいくつかありました。今度の採用試験では前回の反省点を克服し、万全の態勢で試験に挑もうと考えています。
        お忙しい中アドバイスを頂き誠にありがとうございました‼️

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    ABOUTこの記事をかいた人

    ・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。