地方公務員(神奈川県職員)論作文の模範答案を作成しました

神奈川県、公務員、職員、論作文

リクストリーム管理人の元警察官・桜井陸です。

今回は公務員試験で実際に出題された論作文を時間を計り、僕が実際に書いてみました。

まずは読んでみてください。

(論作文中に赤字で記載している部分は後で説明します。)

神奈川県職員の論作文を添削

 

【出題】神奈川県職員(大卒程度・Ⅰ類) 【字数】1200字程度 【時間】90分

【課題】「地域の魅力を発信する方法の1つとして「地域ブランド」にかかる取組みが全国の自治体で盛んになっている昨今、数多くの「地域ブランド」が存在している。このような状況の中でブランドとしての価値をより高めるにはどのようにしたらよいか。あなたの考えを論じなさい。 」

近年のニュースを見ていると各自治体から多くのブランドが生み出されて話題となっている。

その中でもふるさと納税という仕組みは地域ブランドを生かして地方都市を発展させることができる上手な施策であり、税金が消費者と販売者両者のニーズにを充足させている稀有な例だといえる。

そのふるさと納税も発足されて以降、最近はあまりに豪勢な商品が競うように提供される傾向にあり国が警告を与える事態になっている。

この原因は地域ブランドを高めるという目的が拝金主義に逸脱してしまったため、既存で集客できる地域ブランドだけを発信してしまったからだと思う。

地域ブランドというものは数多くあるが、そもそもの目的はもとより知名度のあった名産品等を販売することではなく埋もれていた名産品を地方行政の力で紹介し、今まで日の当たらなかった地域を発展させるためのものであると思う。

地方自治体がこれまでのように有名名産品ばかりに光を当てて供給すると地方においても格差が広がり、優良工芸品や伝統文化の衰退にもつながりかねない。

そこで私が考えた地域ブランドとして価値を高める方法は地方自治体と地域との強い結束である。

例えば神奈川県は政令指定都市が横浜市、相模原市、川崎市と日本最多の3つ存在するという特徴がある。

また、人口、人口増加率をとっても国内上位を占めており日本有数の都市であることには間違いない。

その神奈川県の地域ブランドを見てみると、観光都市として横浜が有名であり川崎市も有名サッカーチームを有するなど知名度は高い。

また相模原市は湘南がありその知名度は全国でも屈指である。

その一方で神奈川県の名産品で知られていないものは多く、例えばチーズの生産量が日本一であったりワインの生産量も日本一であるなどほとんど知られていないことが挙げられる。

特に神奈川県の名産品であるさがみ牛は県外でも有名で人気はあるが、その他については知名度も低い現状にある。

そこで神奈川県は自治体として、知名度の高い既存品を販促するのではなく例えばワイン生産量が日本一の藤沢市と提携して売り出すなど新しい改革が必要であると考える。

地方自治体と地域が密着して地方を発展させることがひいては地方自治体の発展につながり、地域力を一層高めて魅力ある街に改革できるからである。

私の考える地域ブランドとは地域の特定の名産品だけを販売して自治体と特定事業者の2者が潤うシステムではなく、地方自治体が地方を魅力ある地域として全国に売り出し、地方を発展させることが一番の地域ブランドであると思う。

私は神奈川県という海と山の自然に恵まれて人口も日本2位という日本有数の魅力ある自治体で働き、自分が今まで培ったものを生かして少しでも地域を発展させたいと考えている。

 

論作文を作成してみて

85分かかりました。

ちゃんと原稿用紙に書いたので筆記時間なども全て条件は同じです。

どうでしょうか。

 

これで正解というわけではないですが、全体的にまとまった印象がありますよね。

ちなみに私は神奈川県に行ったことがありませんしどんな街かも詳しく知りません。

そこでどうやってまとまった論作文を時間内に書くのか詳しく説明します。

大切なのは数字とキーワード

上で説明したようにこの論作文を書く前に僕はほとんど神奈川県を知りませんでした。

横浜とか湘南は知っていましたが他は分かりません。

それでももっともらしく書けたのは数字とキーワードを調べていたからなんです。

公務員は自分の住む自治体以外も受験するのが当たり前

公務員試験というのは自分が住む自治体以外も受験するのが当たり前です。

大阪府に住んでいる人が大阪府内だけの企業に就職するわけではないように、公務員でも働いてみたい自治体やとりあえず公務員になりたいという考え方など色々な人がいて当然なんです。

そこで課題になるのが自分が住む自治体以外を受験する時の志望動機なんですよね。

他府県のことは知らないのも当然

志望動機についてはまた今度書くとして、今回の論作文でも知らない自治体の特徴を聞かれると困ります。

自分が住んでいる県や市でも知らないことが多いのに他府県だと尚更です。

大切なことは論作文を書く時は事前にキーワードを決めておくということなんです。

キーワードは熱意になる

キーワードというのは熱意になります。

論文の採点者はどこを見るかというと第一に文章構成能力です。

公務員は紙とインクで仕事しているわけで、文が書けない人を採用するわけにはいきません。

 

そして第二に表現力です。

与えられた課題に対してどれだけ具体的かつ明解な回答を出せるのかを見ます。

これが公務員試験論作文の大きな採点ポイントになります(警察はこれに少し加わるポイントがあります。)

ライバルに差をつけるポイント

その熱意ですが論作文上でいかに表現するかというと、ちゃんと下調べをしているかどうかです。

受験する自治体の人口や名産品等はもちろん押さえておく必要がありますし県花や県知事まで調べておきます。

これが他のライバルと差をつけるポイントですし、この小さな努力が後々になって採用試験が進むにつれて生きてくるわけです。

ここが論作文の重要な部分

僕が書いた論作文を見ると赤い字で書いているところがあるので、そこを抜粋しますね。

  1. 税金が消費者と販売者両者のニーズにを充足させている稀有な例だといえる。
  2. 国が警告を与える事態になっている。
  3. 神奈川県は政令指定都市が横浜市、相模原市、川崎市と日本最多の3つ存在するという
  4. 観光都市として横浜が有名であり川崎市も有名サッカーチームを有するなど知名度は高い。
  5. チーズの生産量が日本一であったりワインの生産量も日本一である
  6. 神奈川県の名産品であるさがみ牛
  7. ワイン生産量が日本一の藤沢市と提携して売り出すなど新しい改革が必要であると考える。
  8. 人口も日本2位という日本有数の魅力ある自治体

なぜこれを赤字で書いたのかというと、漢字の間違いがありそうな部分と前もって調べた部分を分かりやすくしたかったからです。

 

1番の稀有という漢字は普段使わないけれど使うと説得力ある漢字なので覚えて多用していました。

2番のなっているという部分は本当は「陥っている」と書きたかったのですが漢字を忘れていたのと送り仮名に不安もあったのでひらがなにしました。誤字脱字は減点なので不安な時はひらがなです。

3番以降はすべてパソコンで前もって調べて書きました。

 

先ほど書いたように、受験する自治体を調べるのは当たり前ですから論作文の前にはこれ以上調べておく必要はあります。

そして試験が始まると覚えていたキーワードを作文用紙の端に記載して、論作文に盛り込んで熱意を伝えていくのです。

 

論作文で必要なことは起承転結の構成、そして熱意と志望動機をうまく絡めることです。

今回の課題テーマで地域ブランドの販促方法を素直に書くと間違いなく受かりません。

ここで求められているのは

  • どれだけ神奈川県を知っているのか(熱意)
  • 文章構成力はあるか(公務員としての適性)
  • なぜ神奈川県を受験したのか(志望動機)

です。

 

長い文章でしたが参考になれば幸いです。

長文を読んでいただきありがとうございました。

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2 件のコメント

  • 突然すいません。
    横浜市の事務を受ける予定なのですが、一次試験に受かったとしても専門論文を書ける自信がありません。
    専門論文は1つのお題に2つの質問がありますが、横浜市の専門論文の書き方はどのような感じになるのかしりたいのですが、教えていただけますか?

    • 横浜市の専門論文を調べてみたところ、知識を問う設問と受験者の考え方を問う設問があるようですね。

      これは「論文」と「作文」の違いを明確化して、分かりやすく説明することが大切になります。
      昇任試験でも同様の設問があり、知識量を問われているのに個人の見解を答えたり、貴方の考え方を述べなさいと問われているのに暗記した法的な知識を羅列すると当然評価も低くなり足切りとなります。

      問われていることを理解する能力、考えを端的明快に説明できる文章構成能力が公務員には必要なのでその部分を間違えなければ大丈夫です。

      採点するのは人間なので、知識を振りかざすだけでは悪印象になります。
      熱意と知識量を上手く原稿用紙に散りばめる練習をしてください。
      完全暗記の文書はすぐに見破られるので平素からの練習が大切です。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    ・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。