警察官をクビになると覚悟したのは警察学校の初日でした

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ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。

僕は警察官に合格するまで3年間かかり、晴れて警察官として採用された初日に警察人生を危ぶむ出来事が起きました。

 

3年間の公務員浪人はとても長く辛い経験でした。

その間は身なりも構うことがなく、散髪も自分でしていました。

そして僕は警察官に合格したら正式に採用されるまでの間、お洒落に変身しようと決めていたのです。

 

警察官採用試験に合格すると警察学校に入校するまで数か月間はフリーになります。

僕はそのフリーな間だけでも自由なヘアスタイルを楽しもうというのがささやかな夢だったのでした。

数年ぶりの美容院へ

いままで自分で散髪していた髪を数年ぶりに美容院でカットしてもらう日がきました。

行きつけのお洒落な美容院に行き、近況を話すと美容師さんも

「え!すごいですね。桜井さん警察官になったんですか。」

と驚いてくれてアシスタントの女の子もみんなが褒めてくれたので最高の気分でした。

 

髪も伸ばしていたのでイメージで説明するとこんな感じに仕上がりました。

 

警察学校、髪形、ショートヘア、短髪

(出典 ホットペッパー)

 

髪の毛も金色に近いくらいに染めて見た目はチャラ男そのものでした。

ヘアスタイルを自由に楽しむことより、ヘアスタイルを自由に楽しめる毎日が本当に来たことを実感したかったんだと思います。

鏡に映るチャラい髪形を見ては「あ、本当に警察官の試験に受かったんだ。」と安堵していました。

幸せ過ぎて夢かどうか分からないときに頬をつねるのと同じかもしれませんね。

 

キラキラしたヘアスタイルで街を堂々と歩き、堂々と電車に乗る。

当たり前の日々がようやく僕にも訪れたのです。

美容師の考えるショートヘアと新人警察官

そして数か月が経ち警察学校に入校する日が近づきます。

僕は長い髪の毛や派手な髪色にも飽きていたので、「もうこれでお洒落なヘアスタイルは一生しなくてもいいや」と美容院を予約します。

美容院に行き、美容師さんには「もうすぐ警察学校に入るからショートヘアにしてください」とお願いしました。

 

これが大きな間違いでした。

美容師さんの考えるショートヘアはあまりにもお洒落だったのです。

 

警察学校、髪形、ショートヘア、短髪

(出典 ホットペッパー)

イメージではこれが近いです。

いま考えるとどこがショートヘアやねんと突っ込みたくなります。

でも警察学校ってどんなヘアスタイルが推奨なのか載っていないので美容師さんの腕を信じて入校することに決めたのです。

もちろん黒染めしたので見た目は普通のサラリーマンになりました。

 

そして入校日となります。

スーツを着て大きなカバンに着替えなどを詰め込み、僕は家を出ました。

とてつもなく緊張していました。

 

無心で歩いていると警察学校が見えてきました。

胸の鼓動が早くなります。

警察学校の門をくぐると、玄関で入校生の受付をしています。

 

警察官の制服を着た男性の前でスーツ姿の若い男女が並び、大声で自分の名前を告げています。

ここが警察学校の記念すべき1ページなのか。

僕は少し武者震いしました。

 

そして僕の順番がきました。

 

僕は制服姿の40代後半の男性に自分の名前を告げました。

そうすると彼は僕の目をジッと見て

「声が小さいわ!」

と怒鳴るのです。

 

僕は負けじと

「桜井陸です!」

と言い返すと、彼は僕の頭を見て

「というかお前は髪が長すぎるぞ。」

と少し驚いた声を出しました。

 

よく周りを見ると、みんなかなりの短髪でした。

僕みたいにワックスで毛先を遊ばせるような余裕があるヘアスタイルの学生は誰一人いません。

「しまった。」

僕は血の気が引きます。

 

そして入校案内を手渡されて学校に入ろうとした瞬間、別の教官に呼び止められて

「お前、髪の毛染めてただろ?光に当たると茶髪になってるぞ。」

と注意されました。

 

僕はこの時、「警察人生はもう終わった。」と確信しました。

入校初日で髪形を注意される警察官はいなかったでしょう。

頭が真っ白になるとはこのことです。

今日中にはクビを言い渡されるかもしれない。

言い訳もできず、僕の警察人生はスタートしました。

茶髪警察官、悩む

茶髪警察官。

 

早く散髪したい。

 

訓練どころではなく、僕は自分のヘアスタイルしか頭に入りません。

 

ある日、僕は教官に

「恐れいります教官。私は早く散髪したいのですが。」

と訴えました。

この自分勝手な訴えは今思い出しても赤面です。

 

今なら「自分でカミソリを使って坊主にすればいいやん」と思うのですが、当時はとにかくアピールすることに必死だったように思います。

教官からは「また後で時間できるからその時に散髪してきなさい」と言われたように思います。

 

警察学校は全寮制なので散髪にも自由に行くことができません。

訓練が進むにつれて髪の毛もどんどんと伸び、黒染めも落ちてますます茶髪になります。

 

そしてある日、教官から

「おい桜井。明日は休日だから散髪してきていいぞ」

と許可を貰えたのです。

僕はガッツポーズで散髪屋に向かいました。

茶髪警察官、短髪になる

詳しくは話しませんが、おじいさんが1人で切り盛りしているとにかく古い散髪屋さんです。

どんな髪形にするのかも聞かれずに散髪が始まります。

15分ほどで完成しました。

 

スポーツ刈りです。

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小学生以来の髪形でしたがとにかく嬉しかったのを覚えています。

教官に見せても

「うん。似合ってるぞ」

と笑われたのでなんとかセーフだと思いました。

警察学校では必死にアピールしていました

警察学校では異端児を見つけると間引かれると聞いていたので僕は髪形で目を付けられる可能性が高く、教官から変な目で見られることのないよう細心の注意を払っていました。

レポート等の提出物には1割ほど「私の髪形について」という内容を盛り込んでいました。

それが功を奏したのか分かりませんが、ほとんどお咎めを受けることなく無事に散髪することができたのです。

 

入校してしばらくしたある日、同じクラスの女子と話していたら

「教室で初めてみんなの顔を見たとき、ホストみたいな人がいたから『この人頭がおかしいんじゃないの?』って思ってたよ。桜井くん髪の毛やばかったよね。」と笑って言われました。

TPOという言葉がありますが、どれだけ立派な志があっても見た目を合わせないと損するなあとこの時に実感しました。

 

そして僕が驚いた表情をすると同期の女子が

「いやいや、ヤバイって言ってもカッコいいなと思ったよ。」

とフォローするように言われたので一瞬、恋しそうになったのも淡い思い出です。

警察学校は恋が生まれやすいというのは本当なんですね。

 

警察学校の思い出は人それぞれあります。厳しい訓練や初めての拳銃、武道など。

僕は何かと聞かれると「髪が長い!」と教官に叱られてクビになるのかと戦々恐々としていた日々です。

当時はもう終わりだと思っていましたが、いま思い出せばとても可愛いことで悩んでいたなあと思います。

 

結婚して行きつけの美容院は変えましたが、今でもその店の会員証は記念に持っています。

会員証には来店日が記載されているのですが、警察学校に入校する前にショートヘアにした日付を見ると初恋をした日を思い出すように甘酸っぱい気持ちがよみがえるのです。

 

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