ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。
警察官を退職してふと、僕にとって警察は何だったんだろうと思うことがあります。
普通のサラリーマンじゃないので特別な思い入れがあるのです。
警察はブラック企業なのか?
頑張って頑張って採用試験に合格して、交番勤務を経て花形の刑事になって…。
そして出た答えは、警察は僕にとって青春そのものだったということでした。
このブログで何度も書きましたが、警察官になるまでの3年間は本当に辛くて苦しかったです。
公務員浪人の肩身の狭さと試験の重圧は表現できないほどです。
そしてついに試験に合格して警察学校に通い、20代中頃から再び学生生活がスタートしました。
警察学校は想像していたものよりずっと楽しく、周りにはいつも仲間がいて同じ場所で寝食を共にするので修学旅行の延長みたいなところだなと思っていました。
【関連記事】警察学校の訓練は厳しい?教官は怖い?
インターネットで「警察学校はきつくて人権もない」みたいな書き込みを見ていたので心配していたのですがそんなこと全くなかったです。
警察学校を卒業する前に辞めてしまった人は人間的に落ち度があるわけでもなく、ただ警察官という仕事に向いていなかったというだけなんです。
【関連記事】警察官をクビになった話の裏側と警察学校の真実
僕を含めて民間から転職して警察官になった人は全員が警察学校を辞めることなく卒業できるのは『警察学校よりも民間会社の方が断然キツイ』ということです。
徐々に警察人生が開花する
警察学校を卒業すると交番に配置されたのですが最初はきつかったです。
何せコミュニケーション能力があまりないので人間関係に苦労しました。
それでも徐々に仕事を覚えてきた頃から僕の警察人生は花開き始めるのです。
警察は個人の才能を活かして自由に仕事をさせてもらえますし、上手くいけば大きく評価してもらえます。
僕は手始めに自転車泥棒を捕まえようと決めました。
自転車泥棒を捕まえるには手当たり次第に職務質問をするのではなく、自転車を盗んだばかりの人を見つけて声をかければ簡単に捕まえられると思い僕は休日にデートをする時も街ですれ違う自転車を見れば鍵穴を見る癖をつけました。
職務質問で初めて検挙する
そうすると動体視力が鍛えられて走行中の自転車でも鍵穴に鍵が刺さっているかどうかがはっきりと見えるようになったのです。
この訓練を始めて数か月後、僕はすれ違った自転車に鍵が刺さっていないことを見つけて職務質問し、初めて検挙することができました。
交通違反の切符も誰よりも多く切りたかったので、走行中の車の運転手を見る練習をしました。
その練習をするとどれだけ高速で走る車でも携帯電話の使用やシートベルト着用の有無がはっきりと見えるようになったのでどんどん検挙することができました。
これは仕事というよりも趣味の延長だったのでとても楽しかったです。
警察官になったことは親孝行にもなった
警察官になって数か月した頃、母が交番の近所まで買い物に来ているというので制服姿を見せに行ったこともあります。
はっきりと覚えているのは母が対面の歩道で信号待ちをしている景色です。
信号が青に変わり人ごみの中、僕がゆっくりと横断歩道を渡ると母は神妙な顔になり僕に深々とお辞儀をしました。
母は今でも「あの公務員浪人していたあんたが警察官の制服を着て横断歩道を悠然と渡ってくる姿を見ると、なぜか緊張してお辞儀してしまったんよ。本当に嬉しかったなあ。」と話しますが僕もこの時に親孝行できて心底嬉しかったと感じていました。
警察学校の入校式で親に制服姿を見せるのも親孝行なのですが、自分の子供が制服姿で勤務している姿を見ると親は本当に嬉しいんですね。
地域課は本当に楽しかった
交番勤務(地域課)は本当に色々なことがあって楽しかったです。
近所に住む人やお店の人と仲良くなることも警察の大切な仕事なので、僕は色々な人に声をかけて仲良くなりました。
雑談も仕事になるんですからお話が好きな人ならきっと天職だと感じるはずです。
高齢者の人は話し相手もいないので制服姿のお巡りさんと話ができるだけで大喜びしてくれます。
不良少年グループも可愛いもので、僕を見つけるとみんなが集まってきて話をするようになりました。
「変な髪の毛の色だなあ」と青い髪の毛を引っ張ってやったり、破れたジーンズをみんなで笑ったり。
警察官というよりも不良グループのリーダーみたいですね。
こうなるとタバコを持っている子供は何も言わなくても目の前で捨てますし、見せなくても良いのにカバンの中を見せてきます。
もちろんいきなりこんな関係にはなれないので、僕は名前と顔を覚えるためにこっそり工夫していました。
最近の子はみんな顔も同じに見えますし服装も似ているので、不良少年の似顔絵と名前・趣味や親の名前をメモして交番のロッカーに貼っていました。
相手のことを覚えることで少しづつ溶け込んでいくことができるのです。
交番勤務で光と影を見た
交番勤務では光と影の部分を本当に多く見ました。
陰の部分は社会の暗部です。
警察官にならなければ決して見ることができない社会の闇。
これらを見てきたので「おかえりなさい」と出迎えてくれる家族がいることだけでも奇跡的に幸せなことなんだと気付いたのです。
警察という仕事は一見すると真面目で堅い仕事に思われますが自営業のような部分が多いです。
個人の能力や裁量を活かしてノビノビ働けます。
得意分野をひとつでも開拓すれば趣味の延長線上で仕事ができるのでやりがいはかなりあります。
逆に自主的に働けない人や周りと同調することが苦手な人は早期退職しています。
僕みたいにやりたかったことを全てやり尽くして辞めた人は少ないはずです。
警察官時代を思い出すと楽しかった思い出しかありません。
退職した今でも警察のことは大好きです。
警察官を志望するみなさんがこのブログを通じて第二の青春を少しでも早く体験できたらいいなと心から思っています。
想像以上に警察官は楽しいですし自由です。
お初にお目にかかります。夏葵です。
今中学二年生なのですが、警察官に興味がありブログを見させてもらっています。突然何ですが、質問よろしいのでしょうか?
・小説などで、警視庁と警察庁の仲が悪いと書かれいているのですが本当ですか?
・警備企画課になるにはやっぱり難しいですか?
この二つの事を質問させていただきます。
はじめまして。
ブログをご覧になっていただきありがとうございます。
さて、ご質問にお答えしますね。
警察庁は立場的には警視庁(都道府県警察)と同じ警察官ですが身分が全く違うのです。
警察庁が定めたルールに従って所轄は仕事をするので、警察庁はとてつもなく格上の存在であり所轄のほとんどの警察官は警察庁の方とは話すらしたこともありません。
あと警備課には適正があれば任用してもらえるので難しくはありません。
そのためにも日頃のアピールと勤務態度は大切です。