僕は転職して人事課に入るまで、転職エージェントや転職サイト(リクナビやエン転職など)がどのような会社なのかをよく知らなかった。営利には全く関係のない公務員の世界で長く生きてきたので当然かもしれないが、人の採用でお金を儲ける会社の仕組みをよく理解していなかったのだ。
そして自分が採用担当になるまで人事課は採用と面接ばかりしていると思っていたが、実は会社のホームページのSEO(検索順位)を上げる会議や社労士と打ち合わせをしたり株主総会の準備をするなど、想像とは全く違っていた。
転職者や新卒で就活が初めての人は、企業の人事はいつも面接など採用活動ばかりしていると思っているかもしれないが、それは大きな間違いで人事課にとって「採用」とは仕事のごく一部だったのだ。
人事課の仕事で面接はほんの一部
人事課は給与の計算や社会保険、労働保険、年末調整など仕事が多岐に渡り、その中で社員からの相談などにも対応するためとにかく時間がない。だからこそ採用はいかにスピーディに済ますかが重要になってくる。
つまり必要な人財と適性のない人財を迅速かつ確実に見極めることが採用担当の大切な仕事なのだ。良い人材を逃さないようにアプローチして、入社が決まれば滞りなく社会保険等の加入準備から入社後のオリエンテーション準備までこなすので採用はルーティン化する。採用の流れは
転職サイトとの値段交渉→稟議書作成→転職情報掲載開始→エントリーシート受付→面接→採用→契約書作成→社会保険等の加入→入社準備
となるため、面接は採用活動の一部であることを思い知った。
転職サイトの裏側
受験者のイメージではエントリーシートを送ると企業の人事課は会社のパソコンで真剣に一人ひとりを見比べて、何時間も会議しているように思えるが実はそうでもなく最近はスマホからも合格メールやお祈りメールがテンプレートで送れるので人事課の人間は電車や新幹線の中、自宅でメール送信していることもある。
ちなみに企業側がスマホで採用情報を操作するとこのような画面になる。
これは某転職サイトをスマホで操作した画像をスクリーンショットしたものである。ネットでこの画面が出るのは恐らく初めてだろう。一日に300通ほどのスカウトメールを送付するだけでも数時間かかるので大変な作業で、申し込みしてきた受験者と連絡するのも大変な労力と時間が必要になる。
だからこそ受験者を一瞬で選別する勘と経験が必要になるのだが、僕の上司は受験者のエントリーシートを見て『会う』『履歴書もらう』『会わない』と一瞬で3通りに区別した。
おすすめ公務員試験で不合格になる理由は適性検査も関係している?面接で門前払いされないために
『会う』は面接に呼ぶ人で書類選考に通過した人、『履歴書もらう』はエントリーシートだけでは不安なので履歴書をもらって判断する人、『会わない』は書類選考不合格の人である。
こんなに一瞬で決めて本当に見てるのか疑問になったが、意外にも『会わない』人は志望動機のコピペや業界研究不足、妙な文言(ここでは書きにくいような個人的な経歴や思想など)を記載するなど独特の匂いがあり、いわゆる門前払いされる人の傾向が段々と分かってきた。
僕はこれまでもブログやユーチューブで繰り返し説明してきたのは公務員試験では100点を取る必要はないから『門前払いされない対策』が必要だということだ。そして今まで僕のユーチューブチャンネルやブログで警察官採用試験に合格した方からいただいたコメントを見ると複数回受験者のほとんどは「これまでの対策が間違っていた」と感想を残しており、これを見ても『なぜ落ちたのか』という問題点の発見と改善ができれば合格に近づくということが分かる。
公務員試験は民間と違って複数回受験が許される。そして受験するたびに不合格になった理由と改善点を追求すれば結果は大きく変わる。僕自身も警察官採用試験を受けたとき、面接の際に本番でとんでもないミスをしでかしていたが不合格になるまではなぜか『合格できるんじゃないか?』という根拠のない手応えと自信があった。
今から考えてみれば不合格になった時、僕の入室方法を見て面接官の皆がギョッとした顔をしていたし、面接中も冷ややかな目をしていたがその理由すら分からず不合格の原因は身辺調査や熱意不足だと的外れに考えていた。
これまでも多くの方から質問や相談を受けてきたが、『そんなことを言ったら警察以外でもまともな企業は採用してくれませんよ』と回答することも多く、改善点に気付くということはそれだけ難しいんだろうなと当時の自分を振り返っても実感する。
だからこそ、これからもユーチューブやブログで少しでも良い発見につながる情報の配信ができればと思う。
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