「高卒の警察官は損してますよね?」その質問に僕はこうやって答えた

高卒、警察官、採用

リクストリーム管理人の元警察官・桜井陸です。

仕事中、高校を出たばかりの部下から「主任。僕みたいに高卒で働いてる奴って損してますよね」と聞かれることがありました。

警察官を辞めたい高卒警察官

損してる?

そうか。

こいつが警備しているのは同じ18、19歳の同級生が遊びに来ている花火大会なんだと知るとなんともいえない気持ちになったことがあります。

そこで今日は高卒で働くことは損なのか得なのか、僕なりに意見を書きますね。

警察庁公式HP:警察学校の生徒にインタビュー

高卒で社会人は損なのか?

僕は大学を卒業して一度サラリーマンを経験してから警察官になりました。

なので高校を出てすぐに働く人の苦労や辛さを全て理解することはできません。

それでも単純に「こいつらは偉いな」と思っていました。

パトロールする高卒警察官

正月もゴールデンウイークもシルバーウイークもお盆もクリスマスもないんですよ、警察官て。

世間の人が「あけおめ」と言ってはしゃいでる横で、雪が降る中制服を着て白い息を吐いて立っているんです。

 同年代を裏切る気持ちを知る

僕は仕事だと割り切っていましたが高校を出たばかりの若い子供はやっぱり辛いだろうと思います。

先輩や上司から偉そうに命令されてね。

同年代の若者が酒に酔って肩を組んで大騒ぎしているわけですよ。

そこに騒音苦情で通報が入って現場に行くんですが、本当ならあちら側にいたはずの自分が同年代の若者に注意しなくちゃならないんです。

寂しそうな高卒警察官

たまに注意した若い子から「お巡りさんめっちゃ若いですね。いくつ?」と聞かれても、高卒の部下は言葉を濁すだけで年齢を言うことは決してありませんでした。

それは恥ずかしかったのか、なめられるからなのか。

僕が思うに部下は言いたくても言えなかったんだと思うんです。

同年代の彼らを裏切っているように感じたんじゃないのかな、と。

本当は自分もそちら側にいるはずなのに上から注意する立場って辛いはずなんです。

ヤクザと戦う18歳

上司でね、高校をでたばかりの若い警察官に対して色々と厳しく指導する人がいます。

指導はもちろん大切なんだけど仕事なんてできるはずないんです。

本来は高校を出ようやく初めてのアルバイトをするような子がヤクザと戦わなきゃいけないんですよ。

腰には重たい拳銃を下げてね。

自分が18歳の時に拳銃を持って暴力団と言い争いになる状況なんて想像もできないでしょう?

世の中は不条理だらけということを知らない

悪人は少しでも警察官の隙を突いて攻撃してきます。

揚げ足取りなんて日常茶飯事です。

こちらが言ったことをICレコーダーに録音されて脅されたり、スマホで動画撮影されてネット配信されることなんて当たり前のことなんです。

18歳の若い男の子に交通違反切符を切られたら自分が悪くても文句の一つは言いたくなるでしょう。

怒られる高卒警察官

大人はみんな大声で攻め立てます。

制服を着た若い少年少女は、正当な仕事をしても自分の父親位の大人に大声で非難されます。

言い返すことなんてできないからみんな真っ赤な顔をして「ウー」って下を向くんです。

不条理なことを言われたことがないから言い返せないんです。

怖くて仕方ないんですよ。

怒られている高卒警察官

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部下は守るもの

そんな時にね、いつも偉そうに指導している上司ほどサーッと現場からいなくなります。

そういう時こそ盾になってやるのが先輩上司の役割でしょう?

クレーマーに新人が攻められたらスッと横に立って対応方法を見せるのも仕事なんです。

話を聞いてこちらに非があるのなら上司として謝る、むこうに非があるなら謝る必要なんて全くないから上手な論戦を見せてあげればいいんです。

高卒警察官を守る上司

部下が追いこまれたら何より先に守ってあげないといけないんです。

たまに「うわー、ややこしそうな奴に絡まれてるなあ」ってこちらが逃げたくなる時こそ守るときなんです。

若い彼らはもっと怖いんですから。

僕はクレーマーの処理を終えるといつも若い部下が「すいませんでした」と小さくなって謝ってくるので「ナイスファイトだったよ。あそこで〇〇と言えた部分は良かったね」と絶対に褒めるようにしていました。

そうするとみんな無邪気な顔でとても嬉しそうに笑うんです。

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努力は結果を裏切らない

だから僕はね、高校を出たばかりの部下から「僕みたいに高卒のやつって損してますよね」と聞かれたときは毎回こうやって答えてました。

「ああやって楽しそうにはしゃいでる大学生は、あと3年もしたらとんでもない苦労してるから。その時に自分はもう一人前の社会人なんだからかなり得してるよ。」

と。

これは事実で、早く自分の進路を見つけて就活を終えた高卒の彼らは同年代が遊んでいる間にもっと有意義なことを学べているんですよね。

楽しそうに笑う高卒警察官

警察官という特殊な世界で働く選択をした若い彼らも、休日には大学生の彼氏と映画を観に行く普通の女の子だったりプレステ4を買って徹夜でゲームする男の子だったりするんです。

僕は若い彼らが損をすることなく、これから得なことばかり起こる人生になるようにとぶかぶかの制服姿を見ながらいつも微笑ましく見守っていました。

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ABOUTこの記事をかいた人

・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。