【警察官に向いている人、向いていない人】たった1つの特徴

警察官に向いている人

ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。

今回はよく頂くご質問のひとつ『警察官に向いていない人』というテーマで解説します。

最後までご覧いただければ警察官に向いている人と向いていない人の特徴が分かると思います。

警察官に向いている人、向いていない人の特徴

まず、警察の仕事は何が大変かというと残業が多いことです。

つまり、拘束時間が長いんです。なぜかというと、事件や事故はいきなり起こるからです。これは警察24時を観ていれば分かりますよね。

仕事が終わる1分前に事件が入れば10時間残業というのもあり得ます。

警察官の残業について

交番の地域警察官の労働時間と残業

ここで少し、警察官時代の僕の実体験をお話しします。

当時、20代後半で僕は地域課勤務、つまり交番のお巡りさんをしていました。

そして勤務中の明け方(午前5時頃)に職務質問して被疑者を逮捕して、翌日の夕方6時まで残業しました。

図で表すとこんな感じです↓

警察官の勤務時間と残業

この意味は分かるでしょうか?

交番のお巡りさんは朝、9時から仕事が始まって翌日の午前9時までが定時、つまり通常は24時間勤務です。

でも、僕の事例を見てみれば午前9時に仕事が終わるはずなのに、夕方6時までかかっています。

つまり残業9時間です。

でも、新潟県警の公式ホームページにある交番勤務の一日を見ると午前9時勤務開始~翌日午前9時勤務終了と書いています。

これを見て

Aさん
警察は嘘をついているのか?
Bさん
残業はいやだ。定時で帰りたい。

という方は警察官に向いていない、とまでは言いませんが警察官になると苦労するかもしれません。

ちなみに僕の事例では、職務質問したのは僕1人だけだったので、事案内容を理解していて書類を作成できるのも僕一人だけです。

つまり上司や先輩は必要な書類を作成したあとは残っていても仕事がないんです。ここで上司は部下の仕事が全て終わるまで待っておくべきという方もいるかもしれませんが、新米の僕はどうしてもそれが嫌でした。

僕が捕まえた犯人だからこそ、自分のペースで仕事を進めたい。そして夜勤明けでフラフラの60歳近い上司を待たせるのは申し訳なかったのです。

警部補は事案対応が終了するまで残るのも役割

上司も僕の気持ちが伝わったのかお昼過ぎに『ごめん、桜井。先に帰っていいか?』と謝ってきました。

大先輩の警部補(警察では係長と呼ばれます)に、ここまで気を遣わせるとは本当に申し訳なかったです。

そして、帰り際に『ごめん、これをお昼ご飯代にしてくれ』と千円札を渡してくれました。

警部補以上になると管理職なので、長丁場の事件時は部下へお昼ご飯や飲み物の差し入れなどお金がかかります。

部下におごるというのは警察独自の文化かもしれませんが、僕自身お金に全く困っていなかったので申し訳ない気持ちで一杯でした。

警察の勤務時間

警察で大切なのは上司との人間関係

この件をあとで他の上司に相談すると、『係長も先に帰って申し訳ない気持ち一杯だったんだろうなあ。かといって歳だから徹夜すると明け方は身体が持たないし。警察官は難儀な仕事だな。』と苦笑いしていました。

僕は係長に頂いた千円札を使うのは申し訳ないのと可哀想な気持ち一杯で、お昼ご飯代に使うことなどできませんでした。

かといって返すのも失礼なので、係長の大好きなタバコを買って返したように思います。それほど大好きな上司でした。

警察はこのように上司との人間関係が仕事を左右するといっても過言ではありません。

人と関わることが好きなのは警察官として重要な適性だと思います。(口下手でも構いません)

警察官に向いていない人とは?

警察官の仕事でキツかったこと

この話はさておき、僕は上司に帰ってもらって内心、実はホッとしました。

自分が職質で犯人を捕まえることができた喜びでウキウキしてましたし、集中して仕事したいからこそ待たれるのはプレッシャーなんですね。

そして前日の朝9時から一睡もしていないし、夕飯も朝食も食べてないから口の中はパサパサ。これは絶対に口臭ヤバいだろうな、なんて思いながら書類作りです。

徹夜して夕飯も朝食も抜くと、人間は胃が荒れるのか口臭が出てくるのです。これは周囲の警察官も同じでした。だから徹夜明けに被疑者を取り調べる時は内心、『臭かったらいやだなあ』と気を遣いながら調書を作っていました。

最近はスメルハラスメントという言葉でも出てきただけに、体臭や口臭にはとても気を遣ったのを覚えています。

警察の人間関係

警察は長時間残業すると注意される?

しかも24時間以上シャワーもしていないし、夏場だったので顔の脂(あぶら)が目に入って、それがめちゃめちゃ目にしみるから涙をボロボロと流して書類を作るわけです。

そしたら交通課の女性警察官の先輩が『あら!桜井くん。泣いてるの?大丈夫?』なんておやつをくれて、副署長は『おい!どうした桜井!こんな遅くまで泣きながら仕事して。係長はどうした?パワハラじゃないのか?』と気を遣ってくれました。

いや、大丈夫だから。これは顔の脂(あぶら)が目に入っただけだから。俺に構わずゆっくり仕事させてくれよ、と思うわけです。

周りはみんな同情してくれるんですが、僕は犯人を捕まえた達成感とやりがいで満ちているんです。

警察の残業時間

仕事が楽しくて覚えたくて自主的に残っているんだから、もうほっといてくれよとイライラしていました。

最近は警察もワークライフバランスが進み、無駄な残業すると早く帰らされます。

気を遣っていただいて、本当はありがたい話なんです。でも若い頃の僕は正直、その優しさが面倒に感じました。

無駄口を叩く暇があるなら仕事がしたい、その一心です。

わざわざ残業してるんですから、余計な私語をするのが時間の無駄に感じていました。

警察官の適性は残業が苦痛ではない人?

残業したい、仕事を覚えて完璧な書類を作りたい、認められたい、負けたくない。

どれだけ残業しても苦痛には感じず、野心がメラメラしていました。

そしてようやく仕事が終わり、帰宅して爆睡。

翌日も休みなので昼頃に起きて、軽くジョギングして明日の出勤に備えます。

翌朝、出勤すると地域課のお偉いさんがポケットマネーで買ったクオカードを朝礼で皆の見ている前でくれました。

警察官と残業

警察官は残業しても給料は同じ。だけど…

この賞は職務質問で検挙よく頑張ったで賞のような名前だったと思います。

頂いたクオカードは1,000円位でしたが、僕はこれを貰うのが大好きでした。これは特注品で警察署の名前が入っています。

これを母親にプレゼントするとめちゃくちゃ喜んでくれるんです。『また活躍したの!?』って。

犯人を捕まえたら上司に褒められて評価は上がって、親孝行にもなる。これは最高の仕事でした。

警察はブラック

警察は無意味に長時間働かされる職業ではない

このとき、20代後半で年収は約500万円でした。月に10日以上の休みがあってこの待遇なら結構、良くないですか?

ここまで読むと、警察官は長時間労働しても気にならない人が向いていると思った方もいるかもしれません。

いわゆる社畜と呼ばれるように、人生を仕事に捧げるのは嫌だと感じた方もいるかもしれません。

でも、それは全く違います。僕も無駄に残業するのは嫌でしたし、早く仕事が終わった日は誰よりも早く帰宅していました。

ここで考えて欲しいんです。

そちら側に行ったら絶対にダメだということを。

警察官の適性とは

残業は自分に与えられた使命だと考える

職質して犯人を捕まえても捕まえなくても年収も休日も同じ。

僕が犯人を捕まえたとき、先輩の中にはイヤそうな顔をする人もいました。えー、俺も残業かよ、と。

でも残業しなくて良いとなったら『ごめんな、桜井』とウキウキして帰っていきました。

今でもその先輩が帰る時の笑顔と背中を僕は覚えています、

いいですか?そちら側に行ったら絶対にダメなんです。

働くなら、社会人になるならこっち側。つまり主人公にならないとダメなんです。

警察の仕事はキツイ

警察官に向いていない人の特徴

職質もせず、最低限の仕事だけして帰る警察官になったら絶対にダメです。

公務員で安定しているから、人を見返したいから警察官になった。

そういう人は公務員の身分は好きだけど、仕事は好きじゃないからやる気もないし、熱意もない。

分かりやすく言うと、仕事に興味がないんです。だから楽しよう、楽しようとする。

自分に自信が持てないと仕事にやりがいも持てないし、面白みもない。

自信が持てない理由は誰からも頼りにされないからです。常に受け身だから。

警察の仕事は楽?キツイ?

警察官の仕事は楽しい?キツイ?

警察は実力主義だから、仕事を覚えようとしない人は後輩からも軽く見られます。

いくら階級が上でも見下されます。

民間や警察に限らず、必要とされない社員は自己肯定感が低いので、自信が持てない。

常にオドオド。ミスも多く、人間関係も悪く、世間話もできない。組織でどんどん浮いた存在になります。

仕事を与える方も人間だから、やる気のない社員にはキツくなるんですね。

仕事を与えようとしても出来る仕事は限られていて、ミスは多いし、嘘はつくし、言い訳するし、隠すし、遅いし。

そして注意したらパワハラとか言われるから、もう好きにしていいよとなる。

警察官に向いている人

警察官の仕事が楽しくない理由

周りは忙しくても実はやりがいを感じていて、『こんなのブラック企業だよ』とか言いながら結構楽しんで残業しているんです。

でも、そちら側の社員は残業しても仕事がないし、仕事したらミスが多いから説教される。

結果的に『この組織は闇が多い』と組織を去ることになります。

僕が言いたいのは残業することが善、残業しない人が悪というわけでは決してありません。

ワークライフバランスは重要だと思いますし、無意味な残業はするべきではないです。

ただ、定時を過ぎても働く必要がある時は第一線で働く戦力になるべきだと言いたいのです。

警察24時を見ていて、被害者がいるのに定時で帰ろうとする警察官がいたらがっかりするでしょう?

警察官に向いている人

警察官に向いている人の特徴

警察官採用試験の面接で『社会貢献がしたい』『被害者を少しでも減らしたい』と伝えたはずなのに、いざ警察官になって制服を着て働くと『残業が多いからブラック企業だ』と言うのは話が違うように僕は思います。

その残業は、まさに被害者の無念を晴らすための時間ですよね?

被疑者を更生させて治安回復するため、そして被害者が安心して暮らすための機会がようやく訪れた瞬間。

そのせっかくの時間を『残業』と呼び敬遠するのはいかがかなと思います。

警察官に向いている人、向いていない人

警察官に向いている人、向いていない人ってもう分かりますよね?

せっかく同じ給料を貰うんだったら、せっかく警察官として働くんだったら、主人公になろうよという話です。

その意識もなく、残業代出るの?とかワークライフバランスは?とか働く前から言ってしまう人は少し苦労すると思います。

『残業させられる』という受け身な考え方ではなく、必ず被害者のために事件を解決するという熱い気持ちこそが警察官に求められる姿勢ですし、それが警察官という仕事のやりがいであり誇りであると言えるでしょう。

6 件のコメント

  • 異動事例は音楽隊という映画を見て、音楽隊が廃止されている自治体が多県警にはあるので、うちの県警でも音楽隊は廃止しようと思うという話をしていたので、質問したいのですが、音楽隊は各県警で廃止されていっているのでしょうか❓

    • 各自治体で廃止が進んでいるというのは聞いたことがありません。ただ、音楽隊に入りたいという志望動機は好ましくないので、あくまでも『警察官になって治安回復に貢献したい』というポイントはブレないように注意してください。

  • こんにちは。 警察官になるか看護師になるか迷っているのですが、客観的に見てどちらが良いと思いますか?お願いします。

    • それは客観的に見るところではなく、自分で判断しなければ後々後悔することになると思います。
      何を以て良いと思うのかは個人差があるので『その仕事でしかなし得ないことは何か』を考えてみてください。

    • 髪型については私のブログでも詳しく解説しているので確認してみて下さい。
      検索ボックスに『髪型』と入れて検索すれば評価されます。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    ・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。