【元警察官が本当の現場を解説】警察官は危険な仕事ではありません

警察官、危険な仕事、危険な職業

ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。

世間では警察官の仕事は危険だと思われて敬遠されることもありますが、実際はそこまで危険な職業ではありません。

僕的には深夜のコンビニエンスストアでアルバイトする方が危険だと思います。

警察官は本当に危険な仕事なのか?

警察官は危険な仕事なのか

世間的に警察官は危険な仕事だと思われていますが、実際はそうでもありません。

間合いを取っていれば不意打ちをもらうこともありませんし、常に緊張感を保てば刺されたり殴られることはほぼあり得ないのです。

福岡県警もこのように説明しています。

確かに危険を伴う業務(現場)はあります。

しかし、危険防止のための教育訓練や装備品を活用するなど、組織的なバックアップのもと現場に臨んでいますので、心配はいりません。

出典:福岡県警HP

それでも僕が警察官人生で一度だけ怪我をしたことがあるので今日はその話をしたいと思います。

警察人生で怪我をした思い出とは

これは僕がとある犯人を追いかけていた時のことです。

拳銃などの装備品も重いのでスタミナも限界に近づき、それでも逃がすわけにいかずフラフラでした。

そして先回りしようと目の前にある塀をよじ登りました。

塀から地面を見下ろすと、塀の高さは3メートルほどあります。

危険な任務中の警察官

これ飛び降りたらヤバイなあ。

明らかに飛び降りできる高さではないので少し躊躇(ちゅうちょ)しました。

犯人と格闘を覚悟する

ですがどうしても飛び降りなければいけない光景が目の前に飛び込んできます。

僕は勇気を振り絞り、塀から飛び降りました。

両足から着地するとズバンとものすごい着地音が響きます。

警察官の危険な任務

その時です。

一瞬、景色がグワーンと揺れてめまいがしました。

右足から今まで感じたことのない痛みが走ります。

酷い痛みに襲われる

 

酷い虫歯の痛みがそのまま足に移動したように鋭くて気持ち悪い痛みでした。

僕は瞬間的に「あ、これイッた。」と思いました。

いまでもこの感覚と頭に浮かんだ「これイッた。」という冷静な心の声は忘れられません。

明らかに骨に異常がある痛みでした。

 

それでも何とか犯人は検挙できたのですが右足の痛みはどんどん増すばかりです。

本署に戻り恐る恐る靴下を脱ぐと右足は踵(かかと)部分から土踏まず部分まで青く腫れあがっていました。

 

これは確実にヒビは入ってるだろうけど、怪我をしたと上司に言えば心配されるだろうし保険の申請をするのも面倒なので僕は足をひきずったまま帰ることにしました。

 

 

電車に乗り目をつむりますがジンジンする痛みは増すばかりで、しかも格闘したまま顔も洗わずに帰ってきたので顔は泥だらけです。

足を引きずりながら歩く泥だらけのサラリーマンは明らかに不審ですし、痛みにも耐えられなくなったので僕は妻に『ごめん、犯人を捕まえる時に怪我したから迎えに来てください』とメールしました。

いま考えるとこんなメール内容も警察官ならではと思います。

 

僕が駅に着くと妻は車で迎えに来てくれており、僕が助手席に乗ると妻は驚いた顔で

「どうしたの、その顔?」

と聞いてきます。

僕は妻だけには心配の声をかけてもらおうと今日の出来事を話すと妻は

「いやいや、そんなことよりもさ。あれ何だっけ?ゲリラっていうんだっけ?陸ちゃん顔がゲリラの人みたいになってるよ。」

とクスクス笑って全く心配してくれません。

僕は少しムキになって

「ゲリラとかどうでもいいから。それよりも足の骨に間違いなくヒビ入ってるんだから少しは心配してくれてもいいやんか!」

と言うと妻は負けじと

「ヒビが入っているのが何で分かるんよ!レントゲンでも撮ったの?」

と言い返してきます。

そこからは僕の骨にヒビが入っているかいないかで論争になり結局は病院にも行かず足を引きずったまま3週間ほど生活することになりました。

今でも当時の話をすると妻には

「いやいや、陸ちゃんは大袈裟だから。レントゲン撮らないと分からないもん。」

と言われて悔しい思いをするのでこの話はもうしないのですが、足があれほど赤黒く腫れあがりジンジンしたんですからただの打ち身というわけがないと今でも思っています。

妻からは「塀を飛び降りるんじゃなくてぶら下がって降りたら良かったのに」と言われたので、僕は「警察官は自分を犠牲にしてでも行動しなきゃいけない時があるんだから!」と言い返しましたが一般的に正解なのは妻の意見でしょうね。

 

それでもね、詳しくは言えませんが塀の上から見たあの光景と、高所恐怖症の僕が塀から飛び降りなきゃいけないと思った決意は一生忘れません。

これは僕だけが知る名誉の負傷なのです。

続けてこの記事へ→現役警察官が語る『警察官のやりがい」とは?

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    ABOUTこの記事をかいた人

    ・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。