ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。
先日、メールで「論作文を書く時に文章力を上げるにはどうすれば良いですか?お薦めの本はありますか?」
と質問を受けました。
警察試験の小論文対策は簡単?
文章力を上げる方法や本についてご紹介する前に、これを説明しなければ話が意味不明になるので僕のことを少しだけ自己紹介させてください。
僕は大学を卒業してすぐ警察官になったわけではなく、一度サラリーマンを経験しました。
職種は広告代理店で営業兼コピーライティングをしていました。
営業は一歩間違えればクレームになりますし、嫌われたら商品も売れないのでトーク力というよりも人の気持ちを理解する力を磨きました。
端的に言えば「この人は僕に対してどう感じているのか」という直感にも似た力で、相手の立場にならないと商売はまず成り立たないのです。
「営業はトーク力が大切」という考え方は大間違いで、「相手は自分のことを好きか嫌いか」と察する力がなければ商品は売れません。
商品は好きな人から買うのであり、信用した人からサービスを受けるのです。
病院で注射してもらうとき医者に「その注射の成分は何ですか?」と説明を求める人はいないでしょう?
あれは医者を信用しているから針で体内に薬品を注入されても平気なのです。
面接は会話力よりも人間性
行きつけの美容院や居酒屋というのは店員の接客態度が好きだからその店に行くのであり、嫌いな人から物を買ったりサービスを受けることはあり得ません。
だから僕は面接対策によくある「面接では〇〇という単語を言うことが大切」という付け焼刃の教え方が大嫌いなのです。
店でどんなに上手くセールストークされても胡散臭かったり金儲け主義が透けて見えたら買おうと思わないでしょう?
口下手でも信用できる店員から商品を買いたいと思いませんか?
面接も同じで面接官から信用されたり好きになってもらわなければ採用されるわけないんです。
「自分のことをどう伝えるか」ということよりも「相手は自分のことをどう思っているか」という部分の重要性に気付かなければ恋愛でも就職でも上手くいきません。
ちなみに恋愛で好きな人に告白して失敗する原因のほとんどが玉砕的に告白しているからです。
【関連記事】警察官はモテるのか?隠されていた恋愛事情について解説します
好きな人に自分の気持ちを伝えて楽になりたいという自分本位な考え方で告白すれば振られるのは当然です。
さらに面接で考えてみるとお互い初対面なのですから、「〇〇を言えば点数になる」という一種のゲーム攻略法的な考え方よりも、短時間で相手に少しでも信用されて好意を抱かせるためにはどうすればいいのかという部分に着目するほうが合格率は飛躍的に上がります。
ちなみに僕はこの直感を大切にしていたので警察官になって交通切符を切るときにほぼ100パーセントの割合で違反者から「ありがとう」と言われていました。
相手に嫌なことをさせて感謝されるというのは相手の身になって仕事をしなければ生まれない感情なんです。
文章は書いても人の評価を知るのが難しい
そして会話以上に文章は磨くと成果が出ます。
会話すると相手の反応がダイレクトに伝わるから「今のはウケたから鉄板ネタにしよう」「この話はスベッたから表現を変えよう」と調整できるのですが、文章はプロの作家でもない限り相手の反応を知ることがなかなか出来ないのです。
なので自分の文章を他人から評価されると文章力がどんどん磨かれていきます。
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僕は前職でコピーライティングをしていて一番勉強になった仕事がエステ店の広告作成でした。
感動的なキャッチコピーと美しいイラストを作りクライアントに提示したところ「これはとてもネガティブな印象が伝わるなあ。それに絵もネイルサロンと勘違いされるようなデザインだから良くないよ。」とダメ出しされたのです。
僕はキャッチコピーもデザインも上司に見せてOKをもらって自信はあったのに愕然としました。
そして不満な気持ち一杯になりながら突き返されたキャッチコピーを見直していたとき、クライアント(広告主)の要望に全く応えていないことに気付きました。
どういうことかというと「自分のキャッチコピーはクライアントに気に入られることばかり考えていて、クライアントの店に行きたいと考えるお客様目線で作っていなかった」という本質的な部分に気付いたのです。
テレビを観ていても「自己満足で終わって意味不明なCM」や「有名な俳優を使って豪華で面白いけど見終わった後に何を意図していたのか印象に残らないCM」というものを観たことはあるでしょう。
あれは広告代理店とクライアントだけが盛り上がり、商品を買うお客様のことを置き去りにしているからです。
文章を人に評価してもらえれば力がつく
僕は昔から文を書くのが好きで自分の世界観がどこまで通用するのか知りたくなり、大学生時代にサバンナというお笑い芸人がMCを務めるラジオ番組にネタを投稿してみたところ自分のネタが採用されて二人に爆笑されたので少し自信になりました。
この後、インターネットで自分の考えた物語を発表したところ大人気になり未だに当時のハンドルネームで検索すると作品がヒットします。
僕は運良くネットで不特定多数の人に自分の文章が評価され、色々なサイトに転載されたので「この書き方は間違いじゃなかったから次からも同じ書き方で書いてみよう。」と自分の型を決めることができたのです。
逆に僕が書いた作品でもいくつかは酷評されたことがあり、そのお陰で独りよがりな文章の癖に気付くことができました。
日本語は50音の羅列であり、誰にでも文章を作ることはできるのですが発表して評価される場がないというのが「伝える文章力」の向上しない一因です。
論作文でも一人で書いていて自信がない人は友人や親に見てもらってください。
高校、大学生なら先生や教授に見てもらうのも一手です。
恥ずかしいかもしれませんが文章力に自信がないのならそれを乗り越えなければ絶対に進歩しませんし、点数を少しでも上げたいと考えるなら人から評価されることが一番の近道です。
交番で警察官と話すとモチベーションアップになる
このブログ読者様で採用試験合格者の中には友人同士で論作文を見せ合っていたという方もいました。
もしどうしても自信がないなら交番に持って行って警察官に見てもらうのも良いと思います。
僕が警察官時代にそういう受験者はいませんでしたが、警察官も相談されて悪い気はしませんから親切に答えてくれるはずです。(ただし交番内が忙しそうな時は控えてくだ地域課の警察官になるには?仕事内容とやりがいについてさい)
【関連記事】地域課の警察官になるには?仕事内容とやりがいについて
仮に警察官に相談して良い結論が出なくてもそこまでしている受験生はあまりいないでしょうし、面接で「なにか受験対策はしましたか?」と聞かれたときに「現場の警察官から話を聞いて勉強していました」と答えれば偽りない熱意を伝えることができます。
(もしこのような質問を受けなくても自分はここまでやったんだという自信につながります。)
長くなりましたが僕のお薦めの本を紹介します。
「傑作!広告コピー516―人生を教えてくれた (文春文庫) 」という本で有名なキャッチコピーばかりが集められています。
キャッチコピーというのは限られた文字数でお客さんに購買意欲を湧かせなければいけないので伝え方が刹那的で秀逸です。
僕はもともとコピーライターだったので表現の重要性は知っているつもりでしたが、この本を読んで改めて勉強になりました。
その中でも気に入っているコピーがこれです。
40才は二度目のハタチというキャッチコピーは見るとハッとしませんか?
これは40才以上の大人を対象とした洋服店のコピーなんですが、まだまだ青春を楽しみたい40代が見たら頭に焼き付いて離れなくなると思います。
ご紹介した本はかなり古いのでもう本屋さんには売っていないと思いますが図書館で借りれますのでお時間がある時に読んでみてください。
短い文章で人を惹きつけるのは難しいですが、「小さな巨人」や「憎いほど愛している」など逆の言葉を入れたら表現が強調できたり、「〇〇ですが、〇〇」というように文節に「…が」という言葉を使うと否定的になるので文を繋ぐのが難しくなるなど意外な法則が多くあるんです。
頭の体操にもなるので違う分野の本も読んで表現力を更に磨いてみてください。
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