ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。
今回は警察官を辞めた方(白井さん:仮称)から色々と本音をお聞きしたのでお伝えします。白井さんは警察官を退職した後、もう一度警察官になるために勉強されています。警察官を退職した理由や再受験する理由、警察学校の感想、交番の仕事の実際の感想などは受験する方のかなり参考になると思います。
ちなみに今回の質問事項はこちらの9項目です。
①警察官を辞めたあと、再び警察官を志望する理由
②警察官に対する世間の印象や情報と実際に働いてみて違ったこと
③警察官として働いて辛かったこと
④警察学校に入校してみて感想
⑤警察学校の教官の印象
⑥警察学校の訓練内容と感想
⑦警察学校入校までにしておくべきこと
⑧警察官志望者へのアドバイスや伝えたいこと
⑨その他❨今の気持ちなど❩
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警察官を退職した理由と警察学校の感想
①警察官を辞めたあと、再び警察官を志望する理由
私が警察官を目指した一番初めの理由は、妹がストーカーの被害に遭い、心の傷を負い、そういった犯人が許せなくて、私が警察官となって弱きを悪から守りたいという思いからでした。警察官に対して強い憧れがあり、現場に出て、現実を知り退職することになりました。
ある日、警察官が刺されたニュースが流れてきて、その刺された警察官は私の同期でした。第一線で命をはって活躍しているのに、自分は本当に情けないと思いました。しかし、この時は警察官としてもう一度働きたいとは考えていませんでした。やりたいことが見つけられないまま、派遣社員として生活を続けていて、ある1人の女性と出会い、その女性は私が元警察官であったことから、現在の彼氏からDVを受けていると相談をしてきました。
女性の腕の痛々しい痣、心の傷。相談に乗る日々を過ごしていく中で、自分は何もしてあげることが出来ずに自分の力不足を実感し、それと同時に本当に許せない気持ちが強くなっていき、やっぱり弱きを悪から守る仕事がしたいと思うようになり、警察官を再び受験する運びとなりました。もう一つ、警察官を受験する理由があります。それは、やはり警察官として働き、自分が誇れる仕事をして、母に元気を与えたい、安心させたいという思いもあります。
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②警察官に対する世間の印象や情報と実際に働いてみて違ったこと
警察官のことを敵対視している住民の方が想像していたよりも多いなと感じました。印象的だったのは、タクシードライバーの方で、昔シートベルトの違反を切られたことをずっと根にもっていて、警察官の粗探しを行い、警察署にしょっちゅう電話してくる住民の方もいました。実際に働いてみて、警察官同士のパワハラは横行しているように思いました。胸ぐらをつかみながら大声で怒鳴っている係長もいました。
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交通違反取締りがノルマで仕事も激務
③警察官として働いて辛かったこと
精神的に辛いと感じたことは、警察官同士のいじめがあったり、交番の中でスマートフォンでゲームしていて、相談に来られる住民の方、時には被害者の方にもめんどくさそうに対応している先輩を見るのが辛く感じました。
あとは、交通切符を切るのも、ただのノルマの為にやっているそんな感じがして、残念に思うこともありました。肉体的に辛く感じたのは、夏、汗まみれになりながら、一睡もせず事案対応をし、睡魔と格闘しながら、書類作成をし、夕方くらいまで帰れないことが割と多くありました。これは忙しい所との差が出ると思いますが。体力に自信があった私でもふらふらになることもありました。
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④警察学校に入校した感想
最初の一か月間が一番しんどく感じました。入校してから担任教官と助教官の2人と私との根性面接といわれるものがありました。とにかく人格否定されました。
私は大卒採用でしたので、半年間という期間に、ぎっしりと詰め込まれており、検定なども多く、時間に追われる毎日でした。教官も生徒も常にピリピリしていました。今まで、いかにダラダラとぬるい生活を送っていたんだなと痛感しました。朝6時半に起床、そのまま駆け足でグランドに行き、点呼、体操、ランニングをして、そこから1日が始まります。私は、湯茶当番に当たることが多くありました。
湯茶当番とは何かというと、制服にしっかりプレスを当て完璧な状態に整え、朝授業が始まる前に、教官室に行き、お茶を出すという当番でした。これがまた地獄でした。お茶を出しに行ってるのに、何かしら教官に厳しい指導を受け、ネクタイやバッジを取られる生徒もいました。
自分のミスが、連帯責任となり、周りに迷惑をかけるので、自分の行動、発言にも責任感を持つようになりました。最初の一か月間はなかなか慣れないものでしたが、日を追うごとに生活に順応していき、仲間とも絆のような物が出来はじめ、学校生活を楽しんでいる自分がいました。
警察学校の教官は本当に怖い?
⑤警察学校の教官の印象
最初は、こんな人間がいるんだというくらい怖いイメージしかありませんでした。しかし、教官も同じ人間で、何より警察官であり、人を守る立場であり、あつい気持ちをもった人ばかりでした。
本当は、教官自身もあまりなんとも思っていないことでも、心を鬼にして、現場で理不尽なことでも耐えられる様に、心を鬼にして、私たちに厳しく指導してくれていたと振り返れば思います。学校を卒業する時に、担任教官に「厳しくして悪かった。親子さんに申し訳ない。本当にすまなかった。よく耐えた。おれの誇りや」と大粒の涙を流している姿を初めて見て、熱く胸にくるものがありました。
私が退職することを伝えた時も、ランチに誘っていただいたりと、卒業してからも気にかけてくださり、本当に今思えばありがたかったなと思います。
警察学校の訓練はキツイのか?
⑥警察学校の訓練内容と感想
座学では、憲法、刑法、刑事訴訟法、民法などの法律関係を学びました。地域の授業では、主に職務質問する時のロープレがありました。座学の時は、教官の雑談などもあり、特に苦痛に感じるものはありませんでした。
逮捕術、柔剣道も一から学びました。大きな訓練内容としては、徒歩訓練、災害警備実施でした。徒歩訓練は徒歩ではなく、山の中をリュックにパンパンに荷物を詰めこみ、隊列を組んで朝から夕方まで走るというものでした。
距離にすると、40㎞程だったように思います。脱落者も大勢いて、脱水で救急車に運ばれる者もいました。災害警備実施は卒業間近に行われました。機動隊の方が来て、グランドでひたすらしごかれるものでした。私個人として、この2大訓練より、日々の教練、けん銃の授業が一番苦痛に感じました。教練に関しては、制服のプレスをしっかり当て、しわもなくし、爪もひげもしっかり綺麗な状態にします。
最初に制服チェックがあり、これを通過しなければ授業にすら出させてもらえません。けん銃の授業に関しては、教官もいつも以上にピリピリしていました。検定があり、その検定を最低でも初級を取らなければ退職に追い込まれます。中間考査と卒業考査の試験がありますが、これに関しては、教官がテストに出るところを教えてもらいます。ひたすらと暗記するだけなので、やったかやらなかったでテストに差が出ます。
警察学校入校までにしておくこと、必要なこと
⑦警察学校入校までにしておくべきこと
私自身が警察学校入校までにしたこととしては、体力作り、漢字の勉強でした。法律関係は全く勉強していませんでした。入校半年前から取り組みました。体力作りに関しては、週5で1日7㎞を走る様にしました。ペースはその日の気分でしたが、ちょっと自分がしんどいと思えるペースを意識していました。筋トレは腕立て伏せ30回を3セット、懸垂なども週4日ペースで取り組みました。
警察学校入校してから体力検定(1500m走、懸垂、ジャパット)があると聞いていて、頭はお世辞にもよくなかったので、せめて体力では一番取るつもりで準備しました。結果として、1500m走は4分56秒、懸垂15回で学級でもベスト3に入ることは出来ました。ちなみに体力検定に関しては、入校してすぐと卒業間近にありました。検定結果によって、白、黄、赤のラインが配布されます。白ももらえない生徒もいました。
懸垂に関しては、警察学校で食べる量が増え、体重も増え、厳しい結果になりましたが、走りに関しては本当に準備していてよかったと思いました。この体力面に関しては、本当に教官も見てるので、絶対やっていたほうがいいと思います。
漢字に関しては、私は漢字検定3級から2級までの基礎漢字をしました。週1回に漢字小テストがあるので、やっておいたほうが自分を助ける為になると思います。私は漢字には苦労しませんでした。
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元警察官の流す悪い情報に流されないこと
⑧警察官志望者へのアドバイスや伝えたいこと
本当に頑張ってほしいと思います。インターネットで調べると元警察官の方が警察官の裏事情を語っていたりします。でも、その悪い情報だけに流されないでほしいと思います。悪い情報だけに流されることは本当にもったいないと思います。自分の選択に誇りを持ってほしいです。実際に楽な仕事ではありませんでした。でも、結局は自分がどのように生きていきたいかが一番重要だと思います。
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⑨その他❨今の気持ちなど❩
この文章を書いていて、私は警察官の仕事を何も知らないまま退職したのだなと痛感しました。自分の視野の狭さと甘さを反省しております。警察官としての生き方がしたいと思いますが、もう二度と採用されないのではないかと不安に感じます。
でも年齢制限に引っかからないまで挑戦したいです。警察官を退職される方は、ぜひ一度考えてほしいとおもいます。分かり辛い文章もあったかとは思いますが、読んでいただきありがとうございました。
警察官の仕事は楽ではない
白井さんの仰るとおり警察官は決して楽な仕事ではありません。ただ、他の仕事では決して得ることのできない誇り、やりがいが必ずあります。
白井さんにいただいた本音の感想は、警察官を目指す人にとってどのように感じるかはその人次第です。もしかしたら『こんなにキツイ職場は嫌だな』と感じた方もいるかもしれませんし、『厳しいけど自分を成長させることができそうだ』と奮起した方もいるでしょう。
僕はこれからも警察官を目指す方を応援し続けます。このように警察の世界の本音を交えながら。
警察学校入校講座を受講したいのですが、パソコンを持っていないとできないのでしょうか?
パソコンの方が文字打ち等は楽かもしれませんがスマホでも勿論可能です。