警察官と消防士の仕事はどちらが大変?現役消防士が回答します

消防士と警察官

ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。

今回はYouTubeチャンネルでいつもサポートして頂いている現役消防士(元警察官)のGreen exitさんから消防士と警察の違いについて詳しく教えていただいたので紹介します。

例えば消防学校と警察学校はどちらがきついのかとか交番の警察官と消防士がどちらが社会貢献につながるのかなど現役消防士にしか分からないことを色々と質問してみたので是非ご覧ください。

Q 消防士も調書を作るのか?

Green exitさん

実は火災現場で消防も警察と同じようなことをします。

それは調書の作成です。
正式には質問調書といいます。

火災の現場で消防も実況見分をしますがその時に通報者や建物の責任者に事情聴取して調書を作成します。

ただ警察の取り調べのように面前でパソコンでタイプするのではなく,現場である程度話を聞いて署に帰ってからパソコンで清書し後日読み聞かせで署名をもらうという作業なので,警察よりは少し余裕があります。

基本的には六箇・八箇の原則で書けば良いので調書を巻いたことがあればそんなに苦ではないです
(ほぼ否認はないので、警察の交通課の時の調書の方がよっぽど大変でした。なにせ,追突しておいても止まった相手が悪いという猛者もいましたので・・・)

ちなみに放火で被疑者が逮捕されていたとしても,送致前であれば捜査に支障のない範囲で被疑者からも質問調書を巻く権限が法的にも消防にあります。

先日火災があって関係者から質問調書をまきましたが,消防に来ても調書を巻くことになるとは・・・昔取った杵柄が役に立ったと思いつい昔を懐かしんでいました。
警察官になると本当に文書作成の力は上がると思います。

※警察官は調書を書くことを「調書をまく」と呼びます。
消防士

Q 消防車の運転と消防士の苦労について

Green exitさん

消防車と消防士の仕事について説明しますね。代表的な車両はいわゆる消防車と救急車でしょうか。消防車はその中でも,ポンプ車やタンク車(ポンプ車にタンクが付いた車)と救助工作車かと思います。

車の大きさにもよりますが,救急車は普通免許,ポンプ車は準中型,タンク車,救助工作車は中型免許です。
昔は普通と大型免許しかありませんが,今は種類が増えたので,運転できない若手が増えてその対策が大変です。
(免許取得の補助がうちの本部はないのでどうやって若手にとらせるかが問題です)

基本的な火災の戦術ですが,火災現場と消火栓などの水利が近ければ,タンク車が近くに停車しタンクの水で応急的に放水,タンク車から消火栓につないで引き続いて放水継続というのが,一般的な戦術です。
但し,火災現場から水利が遠い場合は,とりあえずタンク車が現場に停車,タンクの水で放水,別のポンプ車が水利に部署してホースをタンク車に伸ばして中継しつつ放水というのこともあります。(まずは水を出さないといけないので)

水が出せないということは隊員の命にかかわるので,停車場所や水利の位置について機関員は本当に神経を使います。(みんな自腹でゼンリン地図を買って管内を歩いています)また,消防車は大きいので地図では行けそうな道も狭かったり木の枝等で上が通れなかったりするところもあり,周らないと把握できません。

また,車両も重いですが最近は装備も増えていて重量が増しているので,ぬかるみを走ったりすると,はまったりすることがあり上も下も神経を使います。緊急走行は警察の時よりも多いので慣れましたがやはりサイレンを鳴らしているときは緊張します。帰署して車庫に停めた時が一番落ち着きます。

車の価格もお高く、タンク車ポンプ車2台で9,000万円程しますし,はしご車になると2億円はするそうです。下手な外車よりはよっぽど高い車です。高い車ですが優雅にドライブとはいきません・・・。

Q コンタクトレンズをしたまま気を失った人は病院搬送されて目が醒めるまでコンタクトを付けたままなのか?

Green exitさん
状況にもよりますが,外さないと思います。紛失の可能性もありますし,コンタクトを取るのに時間要してしまい,処置が遅れると命にかかわるので。意識が戻ったら病院で外すと思います。

Q 負傷者を搬送した場合、怪しい人は覚醒剤反応の検査をしているのか?

Green exitさん
救急隊では検査はできないのでおそらく病院で血液検査や尿検査を実施している可能性はあります。

医師が診察して薬物使用の可能性があると判断したときに,治療目的の検査ということで全員ではありませんが調べていると思います。ただ,薬物中毒特有の言動があったときは,検査と同時に警察にも通報していると思います。

Q 方向音痴は消防士になれるのか?

Green exitさん

余程の音痴でなければ大丈夫と思います。いわゆる方向音痴というのは,目的地までどうやっていけばよいか分からないことだと思います。消防に入るまで,今の町に地縁はなく消火栓はおろか,市内の地区名もわかりませんでした。

ですので自費でゼンリンという地図を買って市内を回ってやっと覚えられました。いまは,指令システムにナビがありますし,地区を回って体で覚えれば大丈夫と思います。

Q 消防士に向いていない人は?

Green exitさん

ロープワークや高所での作業など技術的なものは訓練を積めば何とかなります。慌てるのもある程度,場数を踏めば何とかなります。そこは警察と一緒です。

しいて言えば,ヒーロを目指すような独善的な人は向かないと思います。現場ではどんな優秀な人でも一人では何もできません。やはり、自分の考えは持ちつつ統制も守るという人が向いています。

Q 消防学校と警察学校はどちらがきつい?

Green exitさん

消防学校と警察学校2つを卒業したものとして・・・。職業学校として,職員の育成という点では同じですが消防学校の方が自由です。警察学校では,携帯電話・ゲーム機は持ち込み不可でしたが,消防学校は可でした。(実際にPSPを持ってきている人もいました)

後,警察学校は金曜夕方から日曜日の夕方までが外泊時間でしたが消防学校は金曜の夕方から月曜日の朝までが外泊時間でしたし,水曜日の夕方から点呼の時間までは外出時間でしたので、買い物や近くのゲーセンやボーリング場で遊んだりもしていました。(もちろん,勉強や自主トレもやりますよ)

ただ,消防学校の方が高所の訓練やロープ渡過訓練その他諸々警察よりは体力がハードだったと思います。でも,規律がきつい分,警察学校の教官の方が面倒見は良かったような気がします。

Q 交番業務と消防士(救急隊員も含めて)はどちらが社会貢献していると感じるか?

Green exitさん

難しい問題ですが,比較はできません。2つの道を経験したものとして,交番勤務は交番勤務で必要ですし,消防も必要です。

警察官は消防の仕事はできませんし,消防も然りです。社会貢献の有無は結局,それぞれがどういう気持ちで真摯に仕事をしているかに尽きると思います

普段は消防士さんのお仕事を知るきっかけがないので本当に勉強になりました。ありがとうございます。YouTubeでも元警察官・現役消防士として受験生へのサポートこれからも宜しくお願い致します。

 

続けて→【警察官にプライベートはない?車を買うのも許可が必要?】の記事へ

2 件のコメント

  • はじめまして、ブログと関係のない内容で申し訳ありませんが質問させてください。
    先日警察官の面接を行なってきました。車の運転の話になり、事故・違反歴はあるかと尋ねられ「ありません」と答えました。面接が終わった後振り返ったら自転車で1度レッドカードを貰った事を思い出しました。車での違反歴はありませんが、自転車では1度違反してしまっているので、これは試験の評価に響いてしまうのでしょうか?

    • 自転車の二人乗りでの注意・指導は交通違反に該当しません(反則切符を除く)
      ただ最近は自転車による交通事故も多いので運転にはくれぐれも注意してください。
      吉報をお待ちしています。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    ・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。