警察官に向いている人ほど面接で〇〇をアピールしない理由

ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。
講座受講生の長澤さん(女性・仮名)が大卒後、無職の状態で再挑戦して今回の警察官採用試験に合格したので紹介します。

長澤さんは運動部で活躍し、勉強面でも優秀でしたが大学在学中に併願した自治体は全て面接で不合格でした。

筆記試験は合格できるのに面接試験でなぜか不合格になる方はぜひ最後まで読んでください。
『警察官に向いている人』の特徴がきっと分かると思います。

警察官に向いている人は面接で何をアピールするのか?

まず、長澤さんのことを簡単にご紹介します。
長澤さんは理系の大学で勉強に励みながらもソフトボール部でピッチャーとして活躍し、正に文武両道でした。

部活ではチームが負ける原因を研究し、1点でも失点しないように『打たれないピッチャー』になる方法を編み出しました。

それは難易度が高いと言われる投球フォーム『エイトフィギュア』を習得して、更に試合中にフォームを変えて相手打者を翻弄するというテクニックです。

中学時代からソフトボールを続けていた長澤さんにとって『試合に負ける』というのは自分の責任であると感じていたそうです。

僕はソフトボールのことは詳しくありませんが、話を聞いているだけでも長澤さんが努力家であることやチームメイトから信頼されていることが分かりました。そして長澤さんは見事、チームを県大会まで導きます。

警察官に求められる資質とは?

勉強ができてスポーツも得意、更に努力家で協調性もある。
最初は『これは新卒で一発合格できるな!』と僕は思っていました。

ただ長澤さんの論作文や面接カードを添削していると気になったことがありました。なぜか努力したソフトボール部のことや勉強のことをアピールしないのです。

アピールするのは趣味のダンスのことばかり。ダンスで交友関係を広げて大会で賞を獲得したことを一番の実績に掲げてアピールしようとするので、僕は何度もそれを修正しましたがなかなか直りませでした。

長澤さんとしては幼い頃から続けていたソフトボールで県大会に出場したことは何が実績なのか自分で分かっていないのです。

自分がピッチングフォームを変えただけで勝てたとは思えないし、県大会に出場しただけなので大した実績でもない。

それより大学でダンスを始めて賞をもらったことが何より嬉しくてアピールしたい。

どうしてもその考え方を変えることができないまま採用試験本番を迎えました。

これまでにも長澤さんは添削をしていると考え方が少し幼い部分が目立ち、僕の話を完全に理解できていないことが頻繁に起こったので少し不安でした。

人の話を理解できないまま自己流で進めてしまうと、誤った方向に行ってしまうことがあります。

併願しても全て不採用になった理由

そして長澤さんは色々な都道府県警を併願しましたが結果的に全て不合格でした。自分が受験する県警の警察官OBにも応援してもらい、万全の状態でしたが採用されませんでした。

ただ僕はこの結果を見て不思議には思いませんでした。何故なら長澤さんの面接カードを確認すると未だに趣味のダンスの話をアピールしていたからです。

これは本番までに理解しておくべきことなのですが、採用側の求めるものと受験者がアピールしたいものは往々にして異なるのです。

【関連記事】警察官採用試験を併願するとマイナス評価で減点される?

面接試験で何をアピールするべきなのか?

警察官採用試験だけではなく、就職活動全般においてこれまでどのようなことに取り組んできたのかという質問は頻出ですが、長澤さんのようにアピールポイントを間違えてしまう人も多いです。

受験者本人にしてみれば13歳頃から10年以上も続けてきたスポーツですから何がアピールになるのかも分かりませんし、むしろ目の前でスター選手の活躍を長年見てきたので自信がない人すらいます。

だから長澤さんのように大学に入学してから取り組んだことをアピールする人も少なくないのですが、採用側は賞を取ったことよりもこれまで継続したことや取り組み姿勢を評価するからこそアピールポイントを間違ってはいけないのです。

 

ただ、ここで勘違いしてはいけないのは長澤さんが不合格になった理由はダンスをアピールしたからではなく、自己分析を誤り採用側の意図も理解しないまま本番に臨んでしまったということです。

そして長澤さんは受験した全ての自治体が不合格という結果でしたが民間に就職することなく、大学を卒業して無職のまま警察官採用試験対策を受験する道を選択しました。

警察官採用試験対策の面接対策について

僕は警察官採用試験対策講座で面接対策の一環として、希望があれば模擬面接の内容をチェックしています。そして長澤さんからも模擬面接の動画が送られてきたので確認してみました。

長澤さんは模擬面接の相手がいないので、自分が面接官役をしながら一人二役で撮影していました。
無職の状態で焦り、不安の中で撮影した模擬面接の動画は見ていてとても胸が痛みました。
長澤さんは必死に笑顔を作り、ハキハキと答える努力をしています。

そして僕は動画を何度も見直して、長澤さんにこう返事しました。
『正直に言ってほとんど練習してないでしょう?』と。

本当ならば優しい言葉をかけて慰めたり、自信をつけるべきかもしれませんが敢えて僕は本音で言いました。
このままでは合格できませんよ、と。

 

関連記事よくある講座へのご質問はこちら

 

長澤さんからは『自分が情けなすぎて涙が止まりません』と返事が来ました。
でも長澤さんにも思い当たる節があったようです。

台本を記憶して、あとは熱意と本音で話せば面接官に理解してもらえると思っていた。

そうじゃないんですよ。面接はそんなに簡単なものじゃない。

何を話すべきか、話してはいけないのかを自分が理解するまで何度も何度も練習しなければ本番で意味不明な発言をしてしまう。

熱意だけでは警察官採用試験に合格できない理由

ちなみに長澤さんは本気で警察官になりたいと思って、自ら公務員浪人という厳しい道を選びました。

それなのに模擬面接を見てみると何を話したら良いのか台本を思い出しながら話している状態でした。

これは本気じゃないんです。
やる気はあっても本気じゃないから結果は出ない。

つまり、本気で試験対策するとはどういうことか理解できていないまま受験していたんです。

長澤さんはここから強くなりました。
次の動画は人が変わったようにハキハキと話して、面接を心から楽しむ表情でした。

その6日後、長澤さんは面接試験を受験して結果待ちとなりました。

そしてある日、長澤さんからこのようなメールが届きました。

長澤さん

ストレスから過食症になり、施設に行くことになりました。
結果発表までが本当に苦しくて、辛いです。
今回の試験が不合格ならば警察官は諦めて民間に進みます。

ここまで苦しんでも警察官にはなかなか合格できないんです。
苦しんだ人が合格できるわけではありませんが、不条理を感じました。

それなのに世間では『たかが警察官の試験』と軽く見られて夢をけなされて。僕が公務員浪人をしている頃から全く変わっていないんです。

そしてそれから数か月後、午後2時過ぎに長澤さんからこのようなメールが届きました。

お世話になりました。合格しました。

僕は電車の中だったのですが思わず『おおっ!』と声が出ました。それほど受講生の合格は嬉しいですし、ここまで厳しく指導した受講生が苦労を乗り越えて合格したときは自分のことのように嬉しくなるのです。

長澤さんには今の気持ちが鮮明なうちに、全てお手紙に記載してもらいました。合格の秘訣や試験対策の注意点、思うことを全て本音で。それがこちらです。

警察官採用試験を受験して合格した女性受験者の手紙 警察官採用試験の試験対策 警察官になれる人とは?

長澤さんお薦めの記事はこちら→『警察官採用試験の面接に落ちて良かった理由』

警察官に向いている人の特徴とは

長澤さんの手紙でも分かるように合格フラグや不合格フラグはないのです。

面接はこれまで自分が必死で努力した成果を分かりやすく伝えて理解してもらう場ですから、運任せにしている人が合格することはありません。

警察官に向いている人は他人任せにせず、自分で困難な壁を乗り越えようとする人です。

そして長澤さんからは努力の結晶として、このような写真をいただきました。

このノートが何か分かりますか?必死で自己分析した結果です。
ここまで努力してようやく長澤さんは夢を叶えました。

身辺調査や違反歴など、自分以外に原因を探そうとする人も多いですが長澤さんは自分のマイナス要素に向き合って合格しました。

長澤さんは当初、警察官になれない人でした。
それでも自分で弱点と欠点を認め、自分の弱さを誰の責任にもせず最終的には警察官になったのです。

警察官の資質がないと判断されても諦めるのではなく、警察官に向いている人物だと認めさせる努力をしたのです。

警察官に向いている人物像と特徴を分析

警察官採用試験の面接でアピールすることは付け焼き刃の資格やアルバイトの経験ではなく、自分自身がどれだけ警察官という仕事に向いているかを理論立ててアピールすることです。

長澤さんが併願した自治体を全て不合格になり、翌年はアピールポイントを変えて合格した事実を見れば分かりますよね?

面接は運ではありません。資格や熱意をアピールする場でもありません。
徹底した自己分析と企業研究をした人が採用側に信用されて合格できるのです。
警察官に向いている人物像や特徴を正しく分析したから合格できるのです。

最後になりましたが、今回ご協力いただいた長澤さんには心から感謝いたします。
素敵な女性警察官としてご活躍されることを心からお祈りしています。

↓続けてこちらの記事を読んでみてください↓

警察官になるために必要なことや条件、面接試験で不合格になる原因

16 件のコメント

  • 桜井さん、いつも動画やブログ見ています。ありがとうございます。私は公務員浪人をしている33歳です。正社員としての職歴がなくフリーターです。親戚から「正社員の身として警察官採用試験を受験した方が信頼がある」という意見を鵜呑みにしてしまい来月から正社員とアルバイトを掛け持ちすることになりました。しかし、後から分かったことは正社員だろうがアルバイトだろうがニートだろうが合否には関係ないことでした。正社員とアルバイトで選別するならば書類選考で判断できる。警察官採用試験に書類選考がないのは「人となり」を見ているから。と現職の警察官の方からアドバイスがあり「確かに」と気づきましたが、掛け持ちする状況を変更することができず睡眠時間、勉強時間は減りますがやるしかないです。コロナ禍で収入が減り生活するのがやっとな状況です。
    桜井さんのブログを読んでアピールすべきことは何なのか、過去の自分と重なる事がありました。次の試験で14回目の挑戦です。年齢的にも厳しいですが合格掴めるように自己分析しっかりします。

    • ご覧いただきありがとうございます。
      公務員浪人をしていると、どうしても世間と考え方がズレたり感性が異なってくるので世間一般的な思想や考え方は必ず持つようにして下さい。
      面接において社会通念上の常識や理念と外れた発言をしてしまうと、その時点でマイナス評価を与えてしまいます。
      同年代と平均点な能力を維持するよう常に意識する練習をして下さい。

    • 継続した経験が武器になるのではありません。
      そもそも、武器とは人に評価されるために身につけるものではなく、身についたものを評価してもらえる存在がいて初めて『武器』として成り立つものです。
      だからこそ就職用に資格をとっても付け焼き刃としてなかなか評価されないのです。
      アピールするために何かを始めるのではなく、自己評価が低いのならば何をするべきかを考えてみて下さい。

  • 桜井様、こんにちは。
    門脇と申します。2次試験の事でご相談があるのですが、面接の際に話す自己PRと長所は一貫性がないとつっこまれてしまう原因になってしまいますでしょうか?
    抽象的ですが、以下のような内容で話そうかと思っています。
    自己PR→高校の部活動で主将を任され、チームをまとめる大変さや主将の重要性なとで、責任感を学び、その後社会人として働く上で、現場を対応していくうちに、より一層責任感が身につき、、、
    長所→一度やり始めた事は最後までやり通す事が出来る所で、、、

    • 内容はさておき、話す内容が長いように感じます。
      自分がなにを伝えたいのかより、相手が聞きたいことは何かを想像しながら話すよう練習してみてください。

      • 桜井様お忙しい中、コメントありがとうございます。
        やはり、高校、社会人の経験を話すよりもまずは相手が何を求めているかを追求し、面接内容に組み込む方が良いと言う事ですね!
        無料でこのような事を聞くのは申し訳ないのですが、自己PRに高校時代と社会人時代の経験で、こういう事を学び、身についた事を話すよりも、どちらか1つの事を話す方がすっきりしますでしょうか?

        • 高校時代と社会人時代でも一貫して取り組んでいることがあったり、アピール出来ることがあればつなげて説明しても何ら問題はありません。
          ただ、社会人なのに高校時代の話だけをアピールするのは好ましくありません。

  • 桜井様コメントありがとうございます。
    桜井様に言われた事を踏まえ、話す内容を端的に何が言いたいのかが伝わる文を作成出来るよう頑張ります

  • 門脇波音と申します。度々質問失礼致します。
    私は今2次試験に向け面接カード内容を作成しております。
    内容を桜井様に添削して頂きたいのですが、料金は大体どのくらいで行って頂けるのでしょうか?

    • 二次試験を受験されるのですね。
      添削をご希望の場合はブログ内に設置してある講座案内ページからお申込みフォームの送信を宜しくお願い致します。

  • 夜分遅くにコメント失礼します。
    先程、添削2回コースの方にお申し込みをさせて頂いた門脇波音と申します。
    間違えて2回お申し込みをしてしまいました。
    門脇波音と書いてある方でよろしくお願い致します。

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    ・就職氷河期時代、3年間の公務員浪人を経て警察官採用試験に合格。 採用後は同期内最速で刑事課に引き抜かれ、代表的な出世コースに乗る。 刑事部長褒賞、地域部長褒賞、交通部長褒賞、署長褒賞など受賞歴多数。(賞状はプロフィールページに掲載) ・初任科、初任補修科を経て地域課(地域第3係)へ初任配属。 ・初任配置先の交番が高級住宅街で事件・事故の発生が毎日0件という平和な勤務地であったため、仕事が覚えられずに焦る→最多忙な交番へ異動希望を出す。 ・異動先の交番は歓楽街のど真ん中にあり、深夜でも大きな事件が発生する『不夜城』として警察24時でも頻繁に紹介される勤務先であった。 深夜2時に『10対15の喧嘩発生』という意味不明な無線を聞き、戦慄が走った思い出。 ・交番勤務時代は老若男女問わず地域住民が交番に訪れ、幹部から「行列のできる交番」と揶揄される。 ・警察官になり昇任試験に合格し、自分のやりたかった仕事も完遂して燃え尽き症候群に陥り退職。 (ちなみにプロフィール写真は巡査部長に昇進したあと、退職前に記念撮影したものです。) ・転職したとき、アラフォーながらGAFAからオファーを貰う。 ・警察官退職後は大手企業(ホワイト500認定企業)の人事課に転職、採用担当として活躍。DODAやリクナビ、エン転職など各媒体を駆使して採用率を大幅に向上させる。 ・現在も人事課で採用担当として勤務し、現役大学生からシルバー世代まで幅広く面接を行っている。 ・人事課では採用以外にも、優良子育てサポート企業として『プラチナくるみん』認定取得のために会社を構造改革中。 ・所定外労働(残業時間)を削減するため全部署の労働時間を常に可視化するツールを導入し、大幅に削減させたことから労働基準監督署の監督官から賞賛される。 ・『警察官になる前に学んだ知識』と『警察官として働いた間に蓄えた経験』『実際に人事課で勤務した経験』をミックスさせた警察官採用試験対策は1年で数十名の合格者を輩出。 ・顔出しなしの講義YouTube動画で異例のチャンネル登録者20,000人突破。 ・ツイッターは1日1回のツイート、フォロー0人でフォロワー1,000人突破。 ・40代、既婚、大阪市居住。 ・2017年から警察官採用試験対策を開始。合格実績としてプロボクサーや現役自衛隊員、転職歴多数者、元警察官、フリーター、工場勤務者など様々な経歴を持つ受験者を合格に導く。 ①『30代の女性は警察官になれない』というネット上のデマを払拭するため、30代の女性受験者を集めて合格に導いた実績 ②テレビに出演する有名な元警察官(警部級)のコメンテーターから『君は警察官にはなれないよ』と言われた受験者を合格に導いた実績 この①と②の実績を公表してネットに大きな反響を与える。 当サイトの情報をコピーペースト等して二次利用することは固く禁じておりますが、リンクはフリーですので参考になる記事がございましたらご自由にリンクを貼ってください。