ブログ管理人の元警察官・桜井陸です。今回は人気の部署・生活安全課の現役刑事である水岡さん(男性・仮名)から実際に働いた感想をいただきました。
内勤(生活安全課)で勤務するために必要な適性や給料、休日について詳しく本音で教えていただいたので、警察官になって生活安全課や少年係など内勤で勤務してみたい方にはきっと参考になると思います。
生活安全課や少年課で働くために必要な適性・給料、休みについて
警察の中で生活安全課は生安(せいあん)と呼ばれており、DVや虐待などの捜査、風俗店の営業許可や取締り、少年事案の取締りや捜査、迷い子や高齢者などの保護、性犯罪の予防検挙など仕事は多岐に渡ります。
【参考】警察庁:生活安全局
今回情報を頂いた水岡さんはこのブログ『リクストリーム』から卒業された方で、関東の警察署で勤務されています。まだまだ新人ですがそれでも内勤の捜査員として毎日活躍されています。その水岡さんに質問した内容はこちらです。
①生安(内勤)に入る方法。自分なりに努力したこと。
②生安に入ってみて感じたこと
③実際の仕事内容と想像の違い
④生安に入って給料はどれ位変化したか?
⑤生安は休みがとれるのか?急な呼び出しはあるか?
⑥生安の仕事が向いている人
⑦生安の仕事が向いていない人
⑧被害者に接して感じたこと
⑨刑事課と生安の違い(個人的に)
⑩なぜ生安を選んだのか?
⑪生安のやりがいについて
⑫警察官はストーカーやDVで困った人を本当に助けられるか?
⑬警察官になってみて感じたギャップ、最初の想像との違い
⑭その他、受験生へのアドバイス
①生活安全課(内勤)に入る方法。自分なりに努力したこと
特に努力や意識したことはなかったです
元々、八方美人な性格だったので、署の誰にでもすれ違う度に挨拶して、顔と名前を覚えてもらえれば、自然と話しかけてもらえるようになって、専務員との繋がりが自然にできていました。
②生安に入ってみて感じたこと
女性が被害者になる事案が多く、女性から話を聞くってとても大変だと思いました。色んな記事や本を読んで、女性の扱い方を勉強しました(話を遮らないなど)
③実際の仕事内容と想像の違い
正直、生活安全課の中でも私の部署は前評判通りいわゆる恋愛マスター、別れさせ屋、色んな名称ある通り、DV、ストーカー等々多く扱いました。しかし高齢者虐待、障がい者虐待等、警察が扱うものだと思ってなかった事案まで取り扱っていることに驚きました。
④地域課(交番勤務)から生活安全課に入って給料はどれ位変化したか?
生安に異動してから巡査長になったので、若干の等級変化によるズレはありますが、地域課の月給は総支給35万円、生安は27万円程度です。(地域は書類整理に伴う残業半端じゃなかったのでガッチリです)
【参考記事】地域課の警察官。仕事内容とやりがいについて
⑤生安は休みがとれるのか?急な呼び出しはあるか?
業務多忙ですが、休みは取れます(課長、係長がいい人なので積極的な夏休、年休を使うように言われてます、自分はまだ一度も行使してないのでむしろ休んでくれと言われてます笑)。
ただ特異行方不明者(自給無能力者等)が週末に発生した場合は呼び出しもあります。
【関連記事】警察官は車を買うにも上司の許可がいるってホント?
⑥生安の仕事が向いている人
前記②で述べた通り、女性の話を聞くコツを知っている人、聞く忍耐のある人、女性の気持ちを分かってあげられる人が生安に向いていると思います。
ただ生安は風俗、許認可、その他色々な特別法を扱う中で、どこか警察官の雰囲気のない一般人っぽい人が多いです(自分も27歳になった今でも大学生のなりして内偵行かされてます、最年少&童顔なので)
⑦生安の仕事が向いていない人
ズバリ、昭和の漢の気がある人です。
恋愛観や、警察の対応も昔とは全く違うものになり、アドバイスも対応も昔の通りにはいかないのが現状です。
亭主関白な性格の人には正直向かない気がします…
⑧被害者に接して感じたこと
正直なことを言うと10対0の被害者は少ないです(刑事一課事案と同様に)
ただ、時たま現れる危険性のある人、助けてあげたい人もいるので、細かく聴取してます。
⑨刑事課と生安の違い
人安関連事案は刑事一課事案と密接です。
刑事一課は事件になるかならないか、生活安全課は今後の見守りや、再発防止をします。私の部署では被害者保護のため事件化してほしいという事案を刑事からすれば事件にならない、頑張っても不拘束という気持ちのズレはあります。
ですので少しずつ刑事課員と仲良くして、それがなくなればと思ってます!
⑩なぜ生安を選んだのか?
私の野望はどんな事案も対応できるスーパー地域課員になることなので、銃刀法や、軽犯等身につけて損のない事案をたくさん抱える生安からの声かけだったので引き受けました!
(重ね重ね、選んではいないですが笑)
⑪生安のやりがいについて
DVなどの事案はもちろんですが、私が1番力を入れているのは脅威事犯です。
子どもや女性に対する事件になるかならないかの際どい事案(声かけ、公然わいせつに至らない露出等)を刑事や生安の保安(事件係)が触らない場合、私の部署で捜査します。
被害者が子ども達が多く、行為者に警告した時にはやりがいを感じます。
⑫警察官はストーカーやDVで困った人を本当に助けられるか?
DV、ストーカーに対する世間の関心がとても強くなる中で、警察組織もそれらの事案で被害者を生まない様に組織改編をして対策をするようになりました。
過去の失敗を活かして今後はDVストーカーの被害者を必ず助けます。
(先月末あたりに、ストーカー規制法も若干の改正があり、本庁の方々も気合十分です!)
⑬警察官になってみて感じたギャップ、最初の想像との違い
困っている人を助けたい気持ちで制服に袖を通したものの、警察官に対する世間の目は厳しいです。すぐに苦情を申し立てる人も少なくないです…
あとは、まったく警察官を目指していなかった人からすると警察官ってデカくて鋭い目つきで怖そうなイメージだと思いますが、やっぱり警察官も人間で、おしゃべり好きもいれば、色んな人がいるなーと感じました。
⑭その他、受験生へのアドバイス
困っている人を助けたり、犯罪を未然に防止するとてもやりがいのある仕事です。
警察官になってどうしたいか、どんな風に人を助けたいか、悪を取り締まるか、強い信念を持って受験に挑んで下さい。
また警察に求められる職務も多様化する中で、求められる人材能力も多様化しています。
自分は武器がないからと感じている人も、必ず適材適所、スペシャリストになる可能性を秘めています。たくさん警察のことを知って、自分に向いてるかもしれない仕事を見つけられたら合格に大きく近づくと思います。
(普通な人ほど生安へ!!笑)
交番勤務と生活安全課は給与等どちらがお薦めか
水岡さんのお話しを伺って、私が警察署で勤務していた頃と全く変わっていないことに何故かホッとしました。生安の人は当直でもストーカーから迷子、自殺の相談、ゴミの不法投棄、盗撮、痴漢など全ての事案に対応していたので大変な印象はありますが、その分やりがいは大きいでしょう。
内勤に入るのに学歴は必要?
刑事課や生活安全課、交通課など内勤に入るのに学歴は全く関係ありません。高卒でも若くして刑事として活躍する人を多く見てきましたし、その逆に国公立大学を出ても内勤に入らず地域課で勤務する人もいます。
警察学校の成績や学歴などで決まるのではなく、警察は現場主義・能力主義です。人間性に優れていて普段から活躍している人は内勤から必ず声がかかります。文系や理系も関係ないので学歴や出身校を気にする必要は何らありません。
生活安全課は給料が低くなる理由
地域課と較べて生活安全課の方が給与が低い理由は当直回数が少ないからです。地域課(交番)は当直手当がしっかりとつくので、当然給料は高くなります。また休みもしっかりとれるので、プライベートが守られるのは交番勤務かもしれません。若い警察官の中にも『地域課の方が休みが取りやすいから内勤には入りたくない』という人も少なからず存在します。
ただ、内勤に入れば捜査方法や事件手続きがしっかり身に付くので、長い警察人生において何らかのスキルを身に付けたいという方は生活安全課や刑事課などでしっかり勉強することをお薦めします。休日や給料のためだけに楽な道を選ぶと30代後半になったとき、全く仕事ができない警察官になってしまうので取り返しがつかなくなります。
警察官になることだけを目標にするのではなく、警察官になったあとに何がしたいのか。水岡さんのように明確なビジョンを持つことが夢を叶える最初の第一歩だと思います。
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正直なことを言うと10対0の被害者は少ないです(刑事一課事案と同様に)
今回の記事に上記のことがありますが、どういう意味でしょうか?
加害者が100パーセント悪くないということでしょうか?
非の無い被害者は少ないということです。親権を取るために警察を利用する被害者や慰謝料をとるために相手を煽る被害者など現場には色々な人がいます。
こんにちは。今年の第一回の試験が不合格だった者です。 私は前回の出来があまり良くないと実感したため、2回目の試験に向けて約三年働いていたアルバイト先を辞め、勉強に専念してました。この点は何か不利になったりするでしょうか?また、前回の面接でサークルに入ってない点をいくつか突っ込まれたのですが、やはり、サークルに入ってないのはいい印象抱かれないのでしょうか?
不利になるというよりも有利になる要素が少なかったのだと思います。私はサラリーマンを辞めて無職になり、アルバイトも辞めて試験勉強に専念しましたが合格できました。
その理由をこのブログやユーチューブで詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。
お疲れ様です。
先日桜井様に講座申し込みのメールをしたものです。
何時もブログや動画配信ありがとうございます。
自分はこれまで20回ほど警察官試験を受験し、全て不合格です。
何故ここまで警察官を諦められないかを考え、結果自分は警察官が好きなんだという結論に至りました。
今年仕事を辞め、派遣やアルバイトで生活費を稼ぎながら勉強しています。
自分自身馬鹿なことをしているんだろうなと感じていますが、それでも諦めたくない気持ちがあります。
やれるとこまでとことんやり、警察官として働く時が来たら全身全霊で業務に取り組んで行きます。
ご入会お申し込みいただいたのに満席で申し訳ありません。
20回も不合格になるということは、どこかに必ず原因があると思うので広い視野で確認してみてください。
警察官になる人には柔軟性や俯瞰的に考える能力も必要です。夢が叶うよう応援していますね。
はじめまして。現高校三年生女子です。生活安全課を志望しています。今年の9月に公務員試験を受ける予定です。
警察学校に入校するためには警察官試験も突破しなければならないと他サイトでお聞きしました。桜井様は高校のうちに警察官試験を突破しましたか?また、警察官試験の倍率はどのくらいでしょうか?教えていただけると幸いです。
はじめまして。
警察学校に入校するために合格するのではなく、警察官採用試験に合格すれば警察学校に入校して所属に配置されます。
私の受験遍歴や勉強方法についてはブログのプロフィールページなどに詳しく記載していますので、まずはそちらをご覧下さい。
はじめまして高一女子です。
自分自身性被害にあったこともあり、自分で言うのもなんですが芯がずぶとく色々な人に興味があるため生活安全課に興味があります。
この歳からやっておいた方がいいことなどありましたら教えていただきたいです。
芯が図太いのは素晴らしいですね。
高校生とお若いので、今は学業と部活、そして友人との時間を大切にしてください。
この3つを満喫した人は就職してもほぼ活躍できますし、面接官もそれが分かっているので就職でも有利です。
意外と当たり前のことのように聞こえますが、勉強は平均以上で部活もきちんと取り組み、友達の多い人は探してみると少ないものです。
ぜひ有意義な高校生活を過ごして下さい。それはかけがえのない武器になるはずです。
応援していますね。